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武装勢力は信条よりも金が目当て?

2007.11.21



 ワシントン・ポストによれば、イラクの武装勢力は信条ではなく、金のために武装勢力に参加しているということです。

 拘留中の武装勢力の一人アブ・ナワル(Abu Nawall)は、月に1,300ドルも稼いでいたと記事は書いています。元金属職人である彼は、本業ではこれほど稼ぐことはできないと考えられます。ニナーワー州(Nineveh)を担当する米軍指揮官スティーブン・トゥイティ大佐(Col. Stephen Twitty)は、テロ攻撃の数が昨年の1日あたり約18回から、今年の約8回に減った主要な理由は、武装勢力のファイナンスのネットワークを解体したことにあると述べました。金を使い果たした武装勢力が逃げ出しているのが確認されているとトゥイティ大佐は言います。しかし、ナワルはモスルにある自分の組織は年間6百万ドル程度を扱っており、500人程度の兵士を擁し、1日に30回の攻撃を実施していたと述べています。資金はシリアから届くか、身代金が5万ドルにもなる誘拐や企業からの恐喝、不動産詐欺で得ており、資金はいまも断たれていないと米軍の主張を否定しました。企業から集める金は月に20万ドルに及びます。これに対して、イラク軍のモウタ・ハビブ・ヤシン准将(Brig. Gen. Moutaa Habeeb Jassim)は、ナワルは本当のことを言っていないと反論します。

 この記事から、最近イラクでテロ攻撃が減った理由は資金が断たれたためだと考えることができますが、武装勢力がニューヨークマフィアのようにあらゆる方法で資金を集めているという話を聞くと、それが主要な理由ではないように思えてきます。ここで注意しなければならないのは、イスラム国家では富める者が貧者に施すのは当たり前だとみなされていることです。恐喝といっても、日本の暴力団のそれとは若干意味が異なります。取られた方が仕方がないことと納得してしまう面もあるので、根絶はほとんど不可能です。さて、こうなるとテロ攻撃の数が減っている理由が本当に分からなくなります。

 石破大臣が言う「テロは貧困と関係がない」が、実態とかけ離れているのは説明を要しないことも指摘しておきたいと思います。


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