ディヤラ州の配備部隊が増員に
11月にディラヤ州(Diyala province)にいる第1騎兵師団第3旅団が帰還し、西隣のサラハディン州(Salahuddin province)にいる別の旅団がディヤラ州を担当することになると先月報じられました。しかし、military.comはディラヤ州の兵数は実質的に増加することになると報じました。
バクダッドの北東にあるディラヤ州には、第4ストライカー旅団戦闘団、第2歩兵師団が配置され、兵数は増加します。つまり、サラハディン州にいる部隊が担当するという話は変更されたということです。米軍報道官は、ディヤラ州の増員は約2,400人だが、イラク全体では5,000人が削減されると主張しています。また、4月の増派以来、ディヤラ州の主要なテロ事件は68%以上減り、5月の1,051件と10月の464件に比べ、今月20日までは200件と急減したと言いました。これは住民の武装勢力に対抗する運動があると広報官は言います。この配置は、武装勢力は連合軍の攻撃を避けようとするため、イラク全体でのテロ攻撃が減っていますが、北部イラクでのテロ事件が増えるという米軍指揮官の警告も関係していると広報官は述べています。
すると、増員される兵員はディラヤ州の治安維持任務に就くというよりは、北部イラクで動きがあった時に対処する即応部隊なのかと思えるのですが、その詳細は特に書かれていません。こういう情報はむしろ公開した方がテロ防止に効果があるのですが、そういう意図は見えません。どうも気になる話です。イラク全体では削減なのにディヤラ州が実質的に増員ということは、各地の米軍がさらに薄く引き延ばされるということです。確かにディヤラ州はイラク北部のどこへ行くにも都合がよい場所にはありますが、それならサラハディン州の方がより好都合です。イラク侵攻以来、米軍の狙いがどこにあるのかが不明確なのは珍しくありませんが、今回の再配置も狙いがよく見えません。テロ事件が少ないところに配備して、隊員のストレスをできるだけ軽減するという目論見のようにも見えます。限界近くまで疲弊している戦闘部隊を、派遣を続けながら休ませるという苦肉の策かも知れません。
来年7月までに140,000〜145,000人に削減する計画が目論見通りに行くのか、すでに疑問符が付いたという感じがします。