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PKKがトルコ兵捕虜を解放

2007.11.6



 ワシントン・ポストによると、PKKに拘束されていたトルコ兵8人が解放されました。そのタイミングは、ブッシュ大統領とエルドガン首相が会談する直前でした。

 PKKの広報官によると、この解放は戦争や暴力、流血を深めるのを避け、平和へ歩み寄るためであり、人道主義の観点、ヨーロッパ連合、クルド地域政府、イラク政府、米政府からの要望に応えたいためだということです。米政府広報官は、人質解放に対するイラク政府の努力を絶賛しました。なぜか、イラク政府だけ讃え、他の政府には言及しませんでした。しかし、私には今回の解放がイラク政府だけの尽力の結果という証拠はないように思えます。イラク政府にしか目が行っていないところに、現在の米政府の問題を感じます。

 国内の報道機関は、一斉に侵攻回避を模索と書いていますが、この解放で紛争が収まるわけはありません。トルコ、クルドのどちらも、このことを材料に紛争を終わらせることはできないのです。特に、トルコはクルドとの戦いで、3万人が死亡したと主張しています。8人の捕虜が戻ったくらいで考えを変えるわけにはいかないはずです。武力を用いない解決方法は、国連にこの紛争を預けることしかありません。そのためには、アメリカが双方の言い分をいかに摺り合わせ、テーブルについてもよいと思わせるだけの材料を両者に積み上げてみせることです。それに失敗すれば、トルコが本格的な越境を開始し、山岳地帯で延々と戦闘が続くことになります。だから、現在行われている外交戦の内容を観察すると、紛争の行く先が見えてきます。日本のメディアも政府も、この紛争にほとんど関心を持っていないようですが、今後のイラク状勢を考える上で、状況はできるだけ詳しく把握している必要があります。


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