米軍には軍人の身分に関するダブルスタンダードがあります。レズビアンの少佐が、軍人の身分を回復するよう務める一方で、新兵の採用基準がより緩和されようとしています。
military.comによれば、米空軍のマーガレット・ウィット少佐(Maj. Margaret Witt)は、3年前に空軍から除隊を余儀なくされました。彼女は除隊を撤回させようと訴えましたが、名誉除隊を勧告されただけでした。裁判所にも訴えましたが、これまでのところ敗訴が続いています。今日、第9控訴院が改めて審理を行います。今日、1993年以降「聞かない・言わない政策(Don't ask, don't tell)」の下で、数千人のゲイやレズビアンの軍人が除隊させられてきたと、ウィット少佐は主張します。少佐は理学療法士であり、航空勲章(Air Medal)を受勲するベテランです。彼女の弁護士は、任務期間中、彼女が一度も同性と性的な関係、交際関係を持ったことはなく、軍の活動には何の支障も及ぼしていないと主張しています。
一方、米国防総省は、新兵の徴用を容易にするために、軽微な犯罪歴を持つ者の入隊を認める方向に進んでいるとmilitary.comは報じています。薬物の使用、盗み、学校への武器持ち込みと使用などの入隊不許可事由に該当する者は、2006年の15%から今年は18%へと上昇しました。これらの多くは薬物使用が理由によるものです。入隊社を増やすために、そこで、ごく軽い犯罪歴を持つ者でも入隊を認めようというわけです。たとえば、15歳の少年がミツバチを追い出そうとして、誤ってミツバチの巣に火をつけてしまい、近くの家に延焼して損害を出した事例があります。彼は22歳になって、陸軍に志願しましたが、この非行歴が原因で入隊できませんでした。
同性愛者を軍から追い出すのを止めるのも、人材不足を補う手段と思うのですが、米軍は彼らよりも犯罪歴がある者の方が好ましいというわけです。犯罪歴がある者でも、軍隊に入ることで立派に成長することもあるでしょう。もちろん、そうではない場合もあるでしょう。それよりは、同性愛者の在籍を公に認める方が人材不足を緩和できるように思われます。米軍は今年になってから、同性愛者の在籍を認める方向で動いていますが、まだ具体的な形にはなっていません。いずれ、この差別問題には解決がみられるとは思いますが、ながらく続いた問題であるだけに、まだ時間がかかるとみられます。