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こんなに多い元軍人のホームレス

2007.11.9
同日12:45修正



 military.comによれば、アメリカのホームレスの4分の1は退役軍人です。退役軍人援護局は、現在行われている戦争の退役軍人でホームレスになった者を1,500人確認しています。

 2005年のデータは、毎夜寝るところがないホームレス744,313人中の194,254 人が退役軍人としています。20年前は、元軍人のホームレスは250,000人と見積もられていました。軍人がホームレスになる理由のひとつはPTSDや薬物中毒とみられており、記事にはその事例が説明されています。退役軍人援護局は様々な対策を講じ、除隊した兵士がホームレスにならないで済むようにしていますが、問題を根絶できていません。

 制度の面から見ると、米軍は多くのチャンスを持った軍隊に見えます。支援プログラムが実に多いので、それを利用すれば除隊後の生活を満足のいくものにすることができます。特に、地域社会の不備で教育を十分に受けられなかった者にとって、軍隊はチャンスだらけの場所です。在籍中は生活は保証されるわけですから、何でもいいから自分が成功できると感じる分野の勉強なり、資格を取るなりすることです。しかし、中にはそうした備えをまったくせずに、除隊してしまう者もいます。あるいは、そうしたくても、実現する前に重大な怪我を負ってしまう場合もあります。

 こうした問題は長い歴史を持っています。日本も太平洋戦争後、多くの復員軍人がホームレス化しました。私が子供の頃にも、まだお祭りになると軍服を着た人たちが物もらいをやっていました。もっとも、戦争が終わってかなり経った頃でしたから、この人たちは本物の元軍人ではなかったと思われますが、過去にそうした時代があったことを思い出させることです。第1時世界大戦でも各国に同様の人びとが生まれました。傷痍軍人を保護する仕組みは、もっと古くからありました。こうした問題には実に興味深い事柄がたくさんあります。

 なお、毎日新聞が「イラク、アフガニスタンでの戦争経験者が占める割合は不明だが、米メディアによると、復員軍人省の調査で少なくとも400人が確認されており、さらに1500人がホームレスとなる瀬戸際にあるという。」と報じていますが、これはおそらく誤訳です。400人はホームレスを対象にしたプログラムに参加した元軍人の数です。それから、この報告を発表したのは民間団体だとも毎日新聞は書いていますが、根拠になったのは復員軍人援護局と国政調査局の数字だということが欠落しています。

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