先週末から再びイラクでのテロ攻撃を報じる報道を目にするようになりました。北部の石油拠点で自爆テロがあり、迫撃砲が刑務所に撃ち込まれ、イラク人警察本部長がIEDで死亡しました。
military.comによれば、土曜日にバグダッドの155マイル(約249km)北にあるベイジ(Beiji)にある大規模な石油施設でトラックを使った自爆テロがあり、少なくとも7人(市民2人、警察官5人)が死亡し、13人が負傷しました。この事件より24時間前までに少なくとも2回の自爆テロがイラクで行われました。一つはムクダティヤ(Muqdadiyah)にある親米的スンニ派武装グループ、1920年革命旅団(1920 Revolution Brigade)の事務所がある建物の前で、女性が自爆し(またしても女性です)、イラク警察は15人が死亡し、20人が負傷したと発表しました(米軍は15人死亡、17人負傷と発表)。ディヤラ州議会の長イブラヒム・バジャラン(Ibrahim Bajalan)によれば、この女性は元バース党のメンバーで、2人の息子がアルカイダに参加し、イラク軍に殺害されており、復讐を望んでいたとのことです。もう一つは車が検問所で爆発し、イラク兵7人と反アルカイダ武装勢力のメンバー3人が死亡しました。車は兵士が捜索しようとしたところ爆発したとのことです。その前には、北部の町で爆弾による石油パイプラインに対するテロ攻撃がありました。
ワシントン・ポストによると、月曜日の午前6時30分、迫撃砲が内務省の刑務所に撃ち込まれ、少なくとも7人の囚人が死亡し、23人が負傷しました。迫撃砲弾はアルカイダ関連や市民への攻撃の犯人が収容されていた7つの独房棟の周辺に着弾しました。事件はまだ調査中です。
同紙の別に記事によると、日曜日にシーア派が多数を占めるバグダッド南方60マイル(約97km)にあるヒッラ(Hilla)で、バビル州(Babil province)の警察本部長クゥアイス・アル・マモウリ少将(Maj. Gen. Qais al-Mamouri)がIEDにより暗殺され、警護官2名と共に死亡しました。
こうしたテロ攻撃の急増を予測することは困難です。正規軍の作戦なら、用兵上の理論が通用しますが、テロ攻撃は大体どこでやっても効果が出ます。石油施設、政府関連の施設がある大きな建物、軍隊の車列、人が沢山集まる場所。どこでもテロ事件は可能ですが、そのすべてを同時に守ることはできません。正規軍の作戦なら、軍事的な思考で先読みができます。現在、アンケートシステムで行っている戦術クイズも、軍事的思考を用いれば解くことができます。しかし、こういう思考はテロ攻撃にはほとんど役に立ちません。ロンドンサミットに合わせた爆弾テロが成功したのはこういうわけです。
イラクでのテロの動向はまだ時間をかけて見定める必要があります。これをきっかけに元に戻ってしまうとは、まだ断言できません。もっとじっくりと見定める必要があります。はっきりと言えるのは、テロが減少する理由はほとんど認められないということです。アンバル州の目覚めやシリアが打った対策が効果を出したのかはまだ何とも言えないのです。これらの対策を無にするような環境が存在する以上、早計な判断をするべきではありません。
来年の洞爺湖サミットではロンドン地下鉄爆弾事件の教訓が悪い方向に働きそうです。北海道でサミットがある場合、東京も警備しなければならないというわけで、今年から来年にかけて東京都内で警察官が職務質問を強化する恐れがあります。警察官たちは仕事をしていることを示すために、テロとは関係がないと分かっていても職務質問を繰り返し、微罪でも検挙しようとします。ポケットナイフを所持している人には軽犯罪法が適用できるので、アクセサリーの感覚で身につけていた人も逮捕される恐れがあります。それで実際に裁判になることはまずないでしょうが、警察官には逮捕したという実績が大事なのです。皆様、お気をつけください。