ワシントン・ポストがイラク難民の帰国の様子を報じました。現場では混乱が起きているようです。
先月、140万人のイラク難民がシリアから帰国しました。この莫大な数が生まれたのは、イラク政府がバスを使って難民を帰国させたためだったようです。国連と米軍は慌てたようです。あてもなく帰国すれば、失業者とホームレスを生む恐れがあり、それは混乱を生むからです。また、他の人が占拠した自宅を取り戻すための騒動も起こります。米軍と国連はイラク政府にこの帰国を止めるよう働きかけました。その結果、イラク政府は今月からシリアからのバスを一時中止しました。
イラクの赤新月社によろうと、9月以来、シリアから25,000人のイラク難民が帰国しました。イラク政府はここ数ヶ月でシリアとヨルダンから帰国したのは60,000人だとしています。また、シリアとヨルダンにいる難民を700,000人と見積もっています。
国際連合が30組の家族の約3分の1が元の住居に戻り、残りのほとんどは、周辺や略奪された彼らの領域に新しい派閥構造が出来上がっているのを見て、バグダッドの他の地域のすでに過剰になっている親類の元へ引っ越しています。
米軍指揮官と外交官が、最近の暴力の下落は、一部では、こうした分離の結果であると認めたという記述が記事にはあります。以前に、これについて投稿してくれた方の見解はあたっていたようです。ここから考えると、こうした難民の帰国はテロ事件を再び活性化する恐れがあると考えなければなりません。バグダッドでのテロの減少が人口の減少によって実現したとすれば、人口が増えればまた復活すると考えられるからです。
それにしても、イラク政府と米軍、国連との連携がここまで乖離しているとは思いませんでした。難民の帰国という重要事項が何の計画もなしに行われているとは信じがたいことです。生活環境の整備と帰国のどちらが先かはむずかしい問題です。このむずかしいバランスを完璧に解決できる人がいるなら、間違いなくノーベル平和賞を受賞できます。でも、この問題は自然に任せるしか解決方法はないでしょう。とにかく、これから1月にかけて、テロ事件が増加するのはほぼ間違いがないと考えてよさそうです。
そして、我らが日本の国会は、洋上給油の再開だけで手一杯で、こうした問題に目を向ける余裕はなさそうです。