文字を赤くしたところが、防衛庁の基本的な態度を示した部分です。先のゴジラ対策研究の報道を疑問だと感じるのは、このためなのです。ネズミやゴキブリの大量発生で自衛隊が出動することはあっても、それは法律上の有害鳥獣駆除ではありません。ネズミもゴキブリも有害鳥獣に指定されていません。法律上、有害鳥獣は鳥類又は哺乳類と決められており、昆虫は入っていません。ゴジラを有害鳥獣として駆除するという発想が本当に旧防衛庁にあったのかは非常に疑問です。この研究を提案したのが石破防衛長官(当時)で、彼を満足させるために出した結論だったと考えるのは行き過ぎでしょうか。
ところで、自民党が自衛隊に有害鳥獣駆除を行わせるための検討を行っている事実があります。全国山村振興連盟のホームページにその記事が載っています。電気柵の設置に自衛隊を活用、自衛隊が麻酔銃でサルの駆除を行う、退職した自衛官を猟友会員にするなどの案が出されているようです。これは地方で銃砲や罠の資格を持った人が減り、有害鳥獣の駆除で苦労していることから出ていると考えられます。ただ、自衛隊を使うという考え方は行き過ぎのように思えます。確かに地域的に大きな問題になっている事例もありますが、自衛隊を使う必要性があるとは思えません。現に、罠猟の資格者がいない地域では、役所の職員が資格を取得して対応しているところもあります。警察は各地域にいるわけですし、都道府県警は制度上は知事の下にあります。自衛隊はまったくいない地域もあるわけですから、むしろ警察で対応する方が適切でしょう。最近は捕るだけの対応から問題を起こさない対応が求められており、撃退すればよいという考え方は少数になりつつあります。
余談ですが、札幌市内にある駐屯地にエゾシカが迷い込んだことがあります。この時は、大学から専門家が呼ばれ、麻酔銃で捕獲することになりました。この時は、専門家が到着する前にエゾシカは駐屯地の外へ逃げました。別の駐屯地では隊員が取り囲んで捕獲しようとしたところ、エゾシカが隊員の頭上を飛び越えて逃げました。その他、演習場で野生動物と接触することはよくあるようです。