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ブット元首相暗殺犯はアルカイダか?

2007.12.29



 ベナジール・ブット氏の暗殺について、未だに犯行声明は出ていません。パキスタン政府はアルカイダかタリバンの関与を疑っており、暗殺に関与した通信を傍受したと発表しています。時事通信によれば、通信内容はアフガニスタン国境の連邦直轄部族地域・南ワジリスタン地区の部族幹部でイスラム武装勢力指導者のバイトゥッラー・メフスード容疑者と、武装勢力幹部とみられる男とのことです。メフスード容疑者はタリバンと関係があり、先のブット氏暗殺未遂事件にも関与していたことから、可能性は非常に高いと考えられます。

 一方、イギリスのTimes紙がISIの関与をにおわす記事を掲載したと、産経新聞が報じています。しかし、この記事は本当ににおわせただけの記事で、評価に値しません。「ISIは誰も制御できないフランケンシュタインのような体制だ。それはそれ自身の目的と目標を持っている。アメリカの援助と麻薬取引のおかげで、多額の米ドルと武器を持っている。アフガニスタン戦争の最中とその後ずっと、多くの訓練され、装備を与えられ、洗脳された狂信者を持っている。」とジョン・ウィルキンス(John Wilkins)の見解を紹介しているだけです。彼がどんな人物なのか、記事にリンクされている彼のプロフィールからは学位を持ち、様々な分野の経歴を持つ人物だということしか分かりません。多分、とてもユニークな方だろうと想像することはできますが、それ以上のものではありません。こんな記事をもっともらしく紹介するのはどうかと思います。

 ムシャラフ大統領はブット氏を煙たく思っていたはずです。しかし、彼女を暗殺すれば、民主主義の破壊者というレッテルを貼られ、せっかく手に入ったアメリカとの関係が壊れます。それにISIが狂信的な工作員を抱えているとしても、自爆テロまでするのは考えにくいことです。彼らは、死ぬのならば、戦いの中で死ぬことを望むはずで、最初から爆死しようとは考えないでしょう。また、アルカイダからよって貸与される場合を除いては、タリバンは基本的にハイテクの自爆ベストのような装備を作る能力を持ちません。結果として、アルカイダが最有力候補になるわけです。アルカイダ=タリバンの共同作戦は、過去にパンジシールの獅子とよばれた北部同盟のマスード将軍暗殺の前例があります。この時は、爆弾を仕込んだカメラを持った偽記者がマスード将軍に近づいて自爆するという方法が使われました。

 今年の更新は多分、これで最後になるでしょう。今年一年お付き合いいただいてありがとうございました。


今回初めての試みとして、アンケート調査システムを利用し、当サイトで紹介している「TacOps」を教材にした、戦術問題を出してみました。ある突破作戦に最適の突破ルートを考えてみて下さい。(問題はこちら

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