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イランが2003年に核開発を放棄か

2007.12.5



 国内でも報じられていますが、イランの核開発について衝撃的な報道がありました。military.comによれば、イランは2003年秋に核兵器の開発を中止していたと、イランに関する国家情報評価(National Intelligence Estimate on Iran)が報告しました。これは16の情報機関の分析を総合した報告であり、米国で最も権威のある報告です。

 イランの核開発に関する熱意は、2005年に評価されたよりも低く、2003年に中止されてから2007年中期に至るまで再開されていないとみられます。しかし、イランは濃縮ウランの製造は続けており、十分な濃縮ウランを手に入れるには時間がかかると見られます。必要な濃縮ウランを製造するには早く見ても2010年までは完了せず、十分な量を手に入れるには2013年までかかり、満足な量を手に入れるには2015年までかかるとみられています。

 プルトニウムについては、イランは2015年まで生産したり再処理したりすることはできないものの、意志さえあれば、プルトニウム型核爆弾を作る技術的、工業的な能力は持っていると報告書は書いています。

 イランが濃縮ウランを作り続ける理由が分かりません。ウラニウムを使うガンバレル式原爆はプルトニウムを使うインプローション式原爆よりも簡単に作れます。しかし、イランはプルトニウム型原爆を作る能力を持っているようです。ウラニウムは濃縮ウランを作る要理は遙かに簡単に作れるので、インプロージョン式の技術を持っているのなら、濃縮ウランの製造は無視しても構わないことになります。濃縮ウランは原爆にしか使われないもので、しかも金と時間がかかります。

 濃縮ウランはアメリカにプレッシャーを与えるためのものなのか。それとも本当はイランはインプロージョン式の技術を持っていないのか。色々と想像できますが、イスラム国の考え方は日本人とは相当に違っており、本当のところはよく分かりません。だから、こちらはどう転んでも困らないように対策を取っていく必要があります。この記事にはイランの核開発に厳しく反応してきたブッシュ政権の戦略は正しかったという国家安全保障担当補佐官スティーブン・ハドレー(Stephen Hadley)の見解が紹介されていますが、ちょっと受け入れがたいものがあります。

 英国首相ウィンストン・チャーチルを支持する人は、彼が早期からナチス・ドイツの危険性に警鐘を鳴らしていたことを評価します。しかし、歴史家の中にはチャーチルがヒトラーの情報戦に引っかかり、過大評価したために危険視しただけだと言う人もいます。この種の国家同士の駆け引きを評価するのはとても難しいのです。


今回初めての試みとして、アンケート調査システムを利用し、当サイトで紹介している「TacOps」を教材にした、戦術問題を出してみました。ある突破作戦に最適の突破ルートを考えてみて下さい。(問題はこちら

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