spacewar.comに、マハディ軍の活動停止に関するウィリアム・S・リンド(William S. Lind)の見解が載っています。
リンドは「私は砂漠の狐のねぐらに諜報員を持っていないので、サドルが何を考えているかを報告することはできない。私は彼が米軍との対決を恐れているのではないと思う」と述べています。実に正直な見解です。評論家やインターネット上には分かったようなことを言う人は沢山いますが、これが実際のところでしょう。11月18日付けのニューヨーク・タイムズは、サドル師がイランの要請で米軍と対決しないことにしたと書いています。リンドはこの見解に疑問を呈しています。
イランがブッシュ政権が任期を終える前にイランを攻撃すると決めていると判断したとします。この場合には、イランに二つの行動が考えられます。これは仮説なので、簡単に紹介します。
第一は、攻撃の口実を与えないことで、アメリカ人を道義的に最悪の立場に立たせます。シーア派の民兵を大人しくさせ、イラン製武器をイラクの武装勢力に流すのを減少させ、核問題で国際社会との強力を増します。こうすると、アメリカは理由なくイランを攻撃したように見えるというわけです。
第二は、イラクの武装勢力に準備を維持させ続けることです。武装勢力は、手をひき、訓練や武器や爆薬を蓄積し、イランの反撃の一部として行動する時の計画を練るのです。マハディ軍やシーア派の武装勢力がクウェートからの米軍の補給線を切断すれば大きな戦果になります。
以上は仮説であり、本当のところは分からないとリンドは念押ししています。私にもさっぱり分かりません。サドル師の言い分では、部隊の再編成のためということですが、実際に何をやっているのかは見えてきません。私の見解では、米軍の補給線を切る作戦は非現実的に思えます。補給物資はクウェートからだけ送られているのではなく、武装勢力と米軍のどちらにとっても泥仕合にしかなりません。これまでのように、テロ攻撃と補給線への攻撃を併用するのならともかく、補給線を執拗に攻撃すれば、米軍はそこに狙いが集中していると判断して対策を考えます。テロ攻撃では、狙いがどこにあるのかが常に分からないようにした方が効果的で、「ここを狙ってますよ」と相手に教えるのが一番まずい手なのです。
ところで、話は変わりますが、国会で繰りひろげられている艦船用燃料F76に関する議論は余りにも馬鹿馬鹿しくて聞いているのが嫌になります。船舶用の軽油が特殊なものであるわけはありません。それを随意契約でやっている事自体おかしいことは、特に専門家でなくても分かります。石破大臣の答弁は理論的に崩壊していて、聞くに堪えません。