座間基地の迫撃砲テロ未遂事件が思わぬ方向へ拡大しています。アメリカのメディアはアルカイダとの関連を疑っているようです。ABCニュースが「アルカイダの次の標的は日本か?」というかなり筋違いなヘッドラインを掲げました。web版の記事本文のページが開けないため詳細は分かりませんが、アルカイダのメンバーが以前に日本で連絡網を築くために来日していたことと、今回の事件を関連づけ、その可能性を説いているようです。
日本人から見ると、この未遂事件は左翼ゲリラが伝統的に用いる方法であることから、アルカイダとの関連は薄いと考えます。もし彼らがやるなら、タンクローリーを奪取して、ガソリンを満タンにして座間基地のゲートに突っ込み、タンクを爆発させるでしょう。彼らがわざわざ効力の小さい、手製の迫撃砲を製造しようとするでしょうか?
この報道は、アメリカ社会でかなりまともに受け止められたようです。「ジハード・ウォッチ」というブログに、昨日の米軍基地への迫撃砲テロの記事が載っています。しかし、寄せられたコメントを見ると、「日本人は自爆攻撃をするからイスラム教徒は気をつけた方がいい」とか「日本人は差別的だけど、それはこの件に関しては都合がよい」とか、日本人に対する偏見に基づくものが見受けられ、その方が気になりました。
これはイスラム教徒への偏見が増幅されて日本人に対して向けられた好例と言えます。このように差別は伝染するもので、それにもっともらしい理屈がくっつくということを忘れるべきではありません。激しい戦いの中でこそ、冷静な考え方が必要となります。この程度の小規模なテロで憎悪を膨らませてしまうようでは、先が思いやられるというものです。逆上したところで、正しい軍事的判断ができるわけではありません。