掃討作戦はテロ事件を減らしたか?

2007.2.17



 具体的な成果があがらない掃討作戦を効果的に見せかける方法を誰かが見つけたようです。military.comによると、イラク軍の広報官カシム・ムサウイ准将は、昨晩のバグダッド市民の死者(首都の遺体安置所に運ばれた数)はこれまでの平均40〜50人から10人に減ったと発表しました。

 言うまでもなく、一時的に武装勢力が市外に脱出しているので、テロ事件が減るのは当たり前です。これが作戦終了後も続くと考えるのは、そもそも誤っています。これは成果でも何でもありません。米軍は3,000軒の建物を捜索し、武器弾薬多数を押収したと発表していますが、押収した数は明記されていません。武器の押収数は重要です。武装勢力が武器を持って市外に逃げられたのなら、イラク軍の内部協力者がかなり優勢だと考えなければなりません。いずれこの数は発表されるでしょうが、それほど大きな者ではない可能性が高いと考えられます。大きな成果が出たのなら、すでに具体的に発表しているはずです。過去、米軍は成果を出した場合は常にそうしてきたのですから。

 まだ掃討作戦の結果は定まっていませんが、私は疑問を感じます。military.com以外の米メディアも米軍の発表を伝えるだけで特に疑問を発していません。私は、こうした微かな望みには根拠がなく、単に「そうあってほしい」という気持ちから出ていると考えます。戦争は冷酷なので、こうした期待は裏切られるものです。だからこそ、戦争で判断を誤ることは許されないのです。しかし、アメリカが最後の賭に出ている時、これを公然と否定することはできず、誰も真実を言えないというわけです。

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