傷痍軍人の医療態勢に改善が必要なのはウォルター・リード陸軍病院だけではないようです。先月、PTSDの治療体制が危機状態だという報道がありましたが、米政府がその対策に向けて動き出しました。military.comによると、心理学者の特別委員会が67ページの報告書を提出し、精神衛生システムの改善を訴えました。
現役兵士の10分の3以上が精神障害の基準を満たしており、これらの半数以下が助けを必要としています。また、精神医療に従事する者の3分の1が高度の燃え尽き状態にあり、27パーセントが仕事に意欲を見出せない状態になっています。軍の精神衛生の専門家の中で、PTSDを治療する訓練を受けた者は10パーセントに過ぎません。
先の報道の時にも、国防総省の専門家は状況を楽観的にコメントしていましたが、今回も軍の精神医療プログラムには誇りを持っているという広報官のコメントが紹介されています。国防総省は明らかに及び腰で、問題に対処しようとしていません。PTSDの研究はまだ歴史が浅く、技術的にも制度的にも確立されていない部分が多すぎるようです。従来考えられている以上に、戦闘体験によるPTSDの発生率は多く、軍はその実態を十分に理解していないのです。自衛隊もイラクに派遣された隊員の自殺率が他の隊員の2倍にのぼっていることについて、原因を不明だとしています。戦闘を直接経験しなくても、長期間前線に配置されただけでPTSDになる米軍兵士がいることから、長期間の警備で緊張を強いられた自衛官にその症状が出てもおかしくはありません。自衛隊も、積極的にPTSDの情報を集め、対策を練っておく必要があります。