モガディシュの銃撃戦が拡大
ワシントン・ポストによると、ソマリアの内戦がさらに激化している模様です。覆面をしたガンマンが政府やエチオピア軍と激しい銃撃戦を繰りひろげ、少なくとも16人の死体が確認されました。政府側の軍人の遺体は焼かれた後で武装勢力によって切断されたり、女性たちに石をぶつけられました。
今回の事件でソマリア国内の問題が浮き彫りになりました。ユサフ大統領が属するダロッド族(Darod)は、北東部からエチオピアにかけてと南西端からケニアにかけて分布しており、ハブルゲディル族(Habr Gedir)は中南部に分布しています。ユサフ大統領は軍にダロッド族だけしか入隊を認めず、これがハブルゲディル族の批判を招いているのです。部族間の対立が激しい中では信用できる身内だけを軍人にするのはひとつの方策です。しかし、そうした決定やソマリア政府がエチオピアの援助を仰いだことは、ハブルゲディル族からすれば身内優先と見えるのです。
どうやら、ソマリアはミニ・イラクの様相を呈し始めました。アルカイダが計画的にアフリカに浸透しているとは今のところ言えませんが、ソマリア政府がハブルゲディル族を弾圧しすぎれば、ハブルゲディル族はアルカイダの援助を受けようと考えるでしょう。ソマリア政府自体が紛争の原因となっているのです。
国際社会が考えるべきことがいくつかあります。ソマリア政府の治安維持活動を観察し、行き過ぎた弾圧を防止すること。この内戦にアルカイダなどの外国人戦士が参加することを防ぐことです。また、ソマリアだけでなく、発展途上国で多く見られる部族間の対立を終わらせるための活動を行うべきです。これはテロ問題を根本的に解決する唯一の方法です。これこそアメリカが力を投入すべきテロ対策です。