イルカとアシカで潜水艦基地を警備?
military.comによると、イルカやアシカを使って潜水艦基地の沖合水域を警備する米海軍の計画が批判を浴びています。このアイデアは最近日本でも報道されたと私は記憶します。
動物たちは水域に誰かが侵入すると小型艇に乗っているハンドラーに知らせます。ハンドラーは動物の鼻にストロボライトを取りつけ、動物は戻って侵入者に体当たりします。ストロボライトは水面に浮上して侵入者の位置を知らせます。イルカは1度の任務で2時間程度を行動できます。30匹程度のイルカとアシカを使う計画です。
水温が低すぎることやその他の問題が提起されていますが、海軍の専門家はバンドウイルカなら摂氏4.4度の低温でも行動できると反論しています。しかし、この問題に対する最もまともな意見は「イルカを使わないと海軍基地を守れないのか?」という疑問です。攻撃を受ける可能性があるのに、それを知らないイルカを向かわせるのは倫理的に正しいとは思えません。軍用犬は攻撃行動も訓練されますが、戦わせるかどうかはハンドラーの判断に任されており、危険すぎると判断できた場合は犬を使わなくても構いません。それに比べると、イルカは条件反射的に敵に向かわせるように訓練するわけで、イルカには敵が反撃してくることは分からないのです。他のテクノロジーを使う道は考えられないわけではありません。事実、海軍は戦闘能力を持ったダイバーや無人監視船(まだ開発は始まっていません)も考えられると回答したといいます。
軍は変なことも研究しているもので、イルカによる水域警備もその一つだと思います。正直なところ、この計画が軌道に乗るとは思えません。動物という不確実な素材を核兵器がある基地を守る手段とするのは不安ですし、世間の支持も得られないでしょう。多分、計画倒れになるのではないかと想像します。