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大統領はティルマン事件を知っていたか?

2007.3.32



 military.comによれば、パット・ティルマンが戦死したが7日後に、スタンレー・マクリスタル中将(Stanley McChrystal)は彼が友軍によって戦死した可能性が高いというメモを上層部に提出していました。このことはAP通信が入手したメモによって明らかになりました。マクリスタル中将は先日公表された報告書で過失があったとみなされた将官の1人です。

 マクリスタル中将は、証拠の多くがティルマンが友軍の攻撃によって戦死したことを示唆し、これが公表されれば大統領が不利な状況におかれることを警告しました。このメモは、2004年4月29日、ジョン・アビザイド大将にあてて出され、ブッシュ大統領がこの警告を受け取ったかどうかは明らかにされていません(大統領報道官はこの件を否定しました)。

 この情報は軍の中枢からでないと出ないものです。マクリスタル中将本人か、アビザイド大将の周辺で事情を知る者かは分かりませんが、私はマクリスタル中将のような気がします。批判の矢面に立たされて自己弁護の気持ちから情報を漏らしたのかも知れません。また、メモはアビザイド大将のところで止められ、ホワイトハウスまでは届いていないと想像します。どっちにしても、この記事はティルマン事件での上層部のゴタゴタを明らかにし、失望感をアメリカ国民に与えるでしょう。仮にの話ですが、軍の報告書に虚偽があり、それが発覚したら事態はもっと悪くなります。戦争では、この種の矛盾と悲劇が数々起こります。この事件は、愛国心を行動で表現したティルマンが友軍の攻撃で戦死したという悲劇の上に、上層部が事実を隠そうとしたという悲劇が重なった点が特徴的です。これ以上の皮肉はないでしょう。

 
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