ワシントン・ポストによると、米ミサイル防衛局がスカッド・タイプの標的ミサイルを迎撃ミサイルで撃墜するのに成功しました。
カウアイ島の沖合にいる艦船から標的ミサイルが発射された3分間後、米陸軍第6防空旅団が迎撃ミサイルを発射し、ハワイ沖で撃墜しました。このミサイルはペトリオットではなく、THAADの新型だったとのことです。ミサイルに関する詳しい情報は書かれていませんが、昨年、ニューメキシコ州のホワイトサンズ射撃場で実験に成功していました。その後、一度実験に失敗し、実験場が狭すぎるという理由で、場所を太平洋に移しました。
詳細が分からないので何とも言えないのですが、THAADの開発が一段階進んだということです。日本にはスカッドミサイルは届きませんから、この実験は日本の防衛には直接の効果はありません。THAADが役に立つのは韓国の方です。日本にとって意味があるのは、ノドンミサイルを撃墜できるミサイルです。THAAD自体は広域を防衛できるので、実現できるのなら日本には大きな意味があります。しかし、日本は現在のところTHAADを導入する予定はありません。迎撃実験の詳細が分からないため成果を把握できないので、この記事は「お知らせ」に近いものとなっています。この辺がミサイル防衛の闇なのですが、なかなか日本のメディアはそのことを取り上げません。ミサイル防衛に関してメディアが疑問を提示したのは最初の頃だけで、現在はほとんど言われなくなりました。本来、この辺に焦点をあてて、慎重にシステムの可否を考えていくべきです。昨日投票が行われた東京都知事選挙のある候補者が言うように、ミサイルを反転させるなんて不可能です。どこ段階で反転させるのかは知りませんが、いずれの段階でも反転させるのは物理的に無理です。特許は構造さえあれば申請でき、効果は問われないので何でも言える部分があります。日本は着々とミサイル防衛の装備に向けて動いていますが、その効果は誰にも明言はできないのです。