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歴史街道

レーガン時代にも傷痍軍人の待遇が悪化

2007.4.20



 負傷した退役兵に対してブッシュ政権が冷淡なことは、アメリカのメディアによって何度も繰り返して報じられています。しかし、ほかの共和党政権も同じであることをmilitary.comが報じました。

 1985年3月25日、負傷によって退役した兵士の怪我と病気の数を法律を変更することなく抑制する指示が出され、1986年2月に施行されました。この指示は当時レーガン政権の国防長官だったキャスパー・ワインバーガー(故人)によって検討され、決定されました。それまでは、退役軍人が受けられるサービスの内容を決定する障害割合を、すべての障害に基づいて決めていたたのを、任務に不適当とされた障害だけに基づくよう変更したのです。こうすれば、多くの傷痍軍人の障害割合を小さくすることができます。国防総省には頭のよい人たちが沢山いるので、これを考え出すのは朝飯前だったことでしょう。

 障害割合が30%を超える認定を受けられる退役兵は軍歴が20年未満の兵士に多く、彼らには生涯にわたって多くの恩典が与えられます。0〜20%の障害割合の兵士は退職金を受け取り、復員軍人局に医療サービスを申し込むことができますが、30%以上の者ほどの恩恵は受けられません。現在、米軍人たちの間では障害割合を30%以上に認定されるかどうかという問題が関心事となっています。簡単な操作によって、米政府は傷痍軍人に対する予算を節約するのに成功したということです。この方針は現在も続いており、ブッシュ政権はレーガン政権時代に決まったこの抑制をさらに厳しくしたことになります。

 記事には重傷を負い、後遺症を抱えた兵士の実例が載っています。IEDによる攻撃で肺を損傷し、椎間板を骨折した州兵を、軍4万ドルの退職金を払い、20%の障害割合で除隊させようとしています。この兵士の妻は、悪夢を伴う心的外傷後ストレス障害、力が弱くなった脚、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、関節炎などの症状があるのに、20%の障害割合は不当だと主張しています。

 この事実は最近明らかになった覚書により発覚しました。1985年といえば旧ソ連がまだアフガニスタンから撤退しておらず、米軍も大きな戦争はしていない、傷痍軍人の数がそれほど大きくない時期です。それでも退役軍人の医療費を減らそうとしたとは思いませんでした。軍人の医療サービスは意外に問題が多い場合が多く、先だってのウォルターリード軍病院の事件のように劣悪な環境が放置されていることが少なくありません。日本の自衛隊の医療も以前から問題が言われ続けています。これは全世界的に見られる傾向で、どの国も軍人を戦わせようとはするのに、怪我をしたら面倒をみようとしないのです。傷痍軍人の医療について語るのは、消極的なイメージがあり、人々はこれを好まないのかもしれません。しかし、軍事について勉強したことがある者なら、その重要性を認識しないはずはありません。

 この点、わが国の自民党や公明党はどうなのでしょうか。両党の議員から、軍事問題について卓越した意見を聞けることはごく希です。まして、傷痍軍人の面倒について、適切に判断できる人がいるのだろうかと考えると、心配になってきます。結局、官僚に丸投げして「適切に処置するよう指示をしました」と言って終わりなのではないかと思います。これは野党議員も似たようなものでしょう。全世界的なこの問題について、人々がもっと目を向けるようになるべきです。

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