military.comによれば、海兵隊のマーク・ガーガナス准将がロバート・ゲーツ国防長官に、イラク西部のアンバル州の治安について楽観的な見通しを示しました。イラク人による警察や軍隊が機能し、米軍の支援が効果を発揮するようになったと言うのです。
確かに、今年に入ってからの米軍兵士の線死者数を見る限りでは、4月は劇的な現象を見せています。下の数字は、左がアンバル州のみ、右がアンバル州を含むイラク全土での米兵の死者数、カッコ内は両者の割合をパーセンテージで表しています。
1月 25/92(27.2%)
2月 44/87(50.6%)
3月 16/86(18.6%)
4月 9/71(12.7%)
私の感触では、それほどの劇的な変化は起きていません。4月は死者の総数が少なく、アンバル州での死者が少ないのは道理ですし、まだ月は完全に終わっていないのです。4月が最終的に3月と同レベルになる可能性は十分にあります。また、2月には死者の半分がアンバル州で出たことを考えると、大きな変化は3月以降に起きたことになります。それがなぜなのかが分かりません。
しかし、ガーガナス准将は、アンバル州の部族長たちが協力するようになったと言っています。テロの件数が減り、昨年の今頃はラマディで84回の攻撃があったのに対して、現在は約6回です。確かにテロは減ったように見えます。しかし、昨年11月に明らかになった海兵隊の報告書では、アンバル州は絶望的な状況ということでした。なぜ、約半年の間に、状況が好転したのかが分かりません。本当にスンニ派がおとなしくなったのなら、なぜバグダッドのテロ事件が最近増えたのかの説明がつきません。だから、この数字はまだゆり戻しがあるように感じられるのです。
また、アンバル州がひとつにまとまると、それはスンニ派の一大拠点ができあがるということを意味します。アンバル州とシーア派支配地域との対立が構造化する危険性も考えないわけにはいきません。