military.comによれば、バグダッドのグリーンゾーン内が迫撃砲の砲撃にさらされました。また、それから半日以内に、少なくともシーア派の旅行者11人が待ち伏せ攻撃により死傷するなど、イラク全土でテロ攻撃が続いています。
迫撃砲弾の1発はマリキ首相の事務所から約91メートルの場所に着弾しましたが、被害者はいませんでした。多分、これはバグダッド市内の掃討作戦が終了したことに合わせて、自分たちが健在であることを示すための「あいさつ」のために、武装勢力が行ったことだろうと考えられます。記事には複数の砲弾であったことは書かれていますが、何発でそれぞれがどこに着弾したのかとか、迫撃砲を発射した場所を特定したとか、武装勢力を捕らえたとか、置き去りにされた迫撃砲を発見したといったことは書かれておらず、変に情報が少ないのが気になります。米軍やイラク軍が情報を開示していない可能性が高く、それだけ米軍やイラク政府に与えたショックが大きかったものと推定できます。
イスカンダリヤ(Iskandariyah)の近くでシーア派の旅行者が乗ったバスが襲撃され、その後、ラテフィヤ(Latifiyah)やファルージャの近くでも民間人の車や輸送車が襲撃されました。イラク全土で処刑スタイルで殺された死体が23体発見されました。イラク政府によれば、3月から4月にかけてイラク人死者の数は1,872人から1,501人へ20%減少し、負傷者の数も2,702人から2,334人へと減少したといいます。しかし、イラク軍の死者数は3月の44人から63人へと上昇し、イラク全土で108人が負傷しました。米軍の戦死者も増えたことを考えると、テロの総体は横ばい状態と考えた方がよさそうです。最近流れた楽観論は根拠がないと考えて差し支えなさそうです。
余談ですが、イスカンダリヤはアレキサンダー大王が遠征の際に各地に建設した都市「アレキサンドリア」のことです。エジプトには同名の都市がありますが、これもアレキサンドリアのひとつで、地図の製作で有名なプトレマイオスが治めました。アフガニスタンのカンダハルもアレキサンドリアのひとつで、トルコやタジキスタンにもあります。