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歴史街道

米政府中枢に見るイラク戦略の混乱

2007.5.11



 昨日の35,000人の新たなイラク増派が今年始まった増派に対する対応ではないという軍の説明に関して、いくつか参考になる記事があります。

 military.comは、ゲーツ国防長官と軍幹部のイラク政策に関する見解が違っているという記事を報じました。

 ゲーツ長官と軍高官の間では、現在の戦略にどれくらいの時間をかけるかで意見が食い違っています。ゲーツ長官は先月イラクを訪問し、イラクの指導者たちに「時計はカチカチと前へ進んでいる」と語りました。ゲーツ長官やブッシュ政権は、増派の進捗状況が75%のいまは戦略を評価するには早すぎると述べています。ゲーツ長官は近いうちにイラクの治安状況について評価を決したいと考えており、軍高官たちはもっと長くかかると考えています。ペトラエス大将と駐イラク米大使は、9月の第1週か2週に最初の評価を説明するためにワシントンに来る予定です。

 別の記事では、3人の退役将軍がイラク政策を厳しく批判しています。

 ジョン・バチスタ少将は「私は心変わりする前は、一生かけての共和党員でした」「我々の大統領は健全な軍のアドバイスを無視して、同じ意見を持つ従順な部下に周りを取り囲ませています」と述べました。ポール・イートン少将はバチスタ少将と共にVoteVets.orgの広告の中でブッシュ政権を批判しています。NATO軍最高司令官を務めたウェスリー・クラークも「大統領は実質的に軍の意見を聞いたことは一度もない。現政権は兵士の言葉に耳を貸さず、支援もしていない」と明言しました。

 以上の報道から分かるのは、ペンタゴンとホワイトハウスの間でさえ、大きな意見の食い違いがあるということです。現場とホワイトハウスの間の隔たりはもっと大きいでしょう。ゲーツ長官が早めに評価を出したいと言うことは、イラクの状況がどうであれ、撤退に向けた動きをポーズでもいいから作り出して、ブッシュ政権のイメージを上昇させたいという意向と思えます。しかし、軍高官たちがもっと長くかかると考えているのなら、ゲーツ長官の方針に無理があると考えるべきでしょう。イラク戦略は政府の中枢部分で崩壊しているのだといえます。

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