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欧州評議会が秘密収容所の存在を実証

2007.6.9



 ワシントン・ポストによれば、欧州評議会の人権機関が、ポーランドとルーマニアはCIAが同国内で秘密の収容所を運用することを認めていたと報告しました(報告書はこちら)。重要な容疑者はポーランドに、それ以外の容疑者はルーマニアに運ばれたとのことです。

 この報告は評議会で承認されましたが、証拠については詳細を公開していないとのことです。しかし、30人の欧米の情報機関の当局者(現役と退役を含む)の証言を相互参照し、航空機の飛行データに基づいて判断しているとのことです。報告をまとめたディック・マーティー氏は「テロリズムに対する本当の国際的な戦略はない。国際的な司法と検察システムを制定し認証することを避けることもまた国際的なテロリズムと戦うための我々の努力における大きな弱点である」と述べています。ポーランドとルーマニアはこの報告を否定しています。

 以前から、航空機の飛行データが秘密の収容所の存在を裏づけていることは報じられていました。それに加えて情報当局者の証言がまとめられたのなら、この報告はかなり信憑性があると思います。秘密の収容所の問題は、アメリカの対テロ戦争の正当性の問題そのものです。

 国内に対する直接的な攻撃に対して、アメリカ人が過敏な反応を示すことをアルカイダは認識していたのかも知れません。同時多発テロを行うことで、アルカイダはアメリカを戦場に引っ張り出すことに成功したのです。孫子の兵法風に言えば「利して之を誘い、亂(みだ)して之を取り」です。アメリカがやるべきだったのは、恥辱に耐えながら国際的な対テロリズムのネットワークを確立することでした。しかし、アメリカは極めて率直に報復する道を選び、国際社会の支持を集め損ねました。その最たるものが秘密の収容所です。マーティー氏が言うように、正規の戦争に関する法律もまだ不十分な上、テロリズムに関する法律となるとさらに整備が進んでいません。アメリカがその牽引役を放棄したのが最大の問題です。日本の政界がこれにまったく興味がないことも同罪だと考えます。

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