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歴史街道

今もベトナムを汚染し続ける枯葉剤

2007.6.16



 military.comによれば、ベトナム戦争時に使われたオレンジ剤(OrangeAgent)と呼ばれる枯葉剤が今でも危険なままであることが分かりました。

 枯葉剤のダイオキシンのレベルは国際的に受け容れられている基準よりも300〜400倍であることが土壌検査で分かりました。検査を行った科学者は「これがアメリカやカナダであれば、十分な研究と早急な除染が必要になるだろう」と語りました。最も危険な汚染地域は空軍基地だったダナンの、枯葉剤を混合するために使われていた2,100エーカーの土地ですが、隣接する百万人が住む都市や国際空港のターミナルに直接の脅威は与えていません。枯葉剤は航空機に搭載する前に水で薄めることになっており、その作業中に枯葉剤がこぼれて、地面にしみこんだのです。この土地の中にある汚染された池で釣りをしたり、蓮の花を採取した人たち数ダースの血液検査からは高レベルのダイオキシンが検出されました。ダイオキシンは隣接する街にも雨水によって拡散していますが、これは大きな汚染にはなっていません。アメリカはこれらの汚染を除去する費用を負担しています。

 枯葉剤の影響が今も続いているという報告には驚かざるを得ません。ダイオキシン自体はそれほどの毒性はないといわれます。しかし、枯葉剤に含まれるダイオキシンによって、被害を受けた親から奇形児が生まれる疑いがいわれており、これは米軍の将兵にも及んでいます。ベトナムでダイオキシンを散布した地域で活動した兵士の妻が奇形児を出産した事例があります。その兵士の親は将官で、それ以来、ダイオキシンで被害を受けた兵士の支援活動を行っています。米政府はダイオキシンと奇形児の因果関係を認めておらず、被害者は何の補償も受けられていません。記事にもベトナム人に発生した奇形児の例を載せています。

 しかし、その一方で、アメリカはダイオキシン問題でベトナムを援助しています。記事によると、ベトナムは3百万人のダイオキシン被害者がいるとしています。アメリカはこの問題はさらなる科学的研究が必要だとしています。ダイオキシンの危険性は確かに分かりにくい部分があります。日本ではベトナム戦争よりも遙かに多いダイオキシンを農薬を通じて水田に撒きました。幸いにも、米はダイオキシンを吸収しないので、米を食べて被害を受けた人はいません。しかし、作業をした農業従事者が被害を受けたとか、水田の水が流れ込む川の魚を食べて被害を受けたという話は聞きません。科学者もダイオキシンの危険を特定するのがむずかしく、いまだに解明できていないのだといいます。おそらく、ほかの物質と結びついた時に毒性が強まるのではないかと、私は推測します。

 我々は、戦争の傷跡が簡単に消えないことを肝に銘じなければなりません。

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