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歴史街道

軍のゲイ差別に関する展示会

2007.6.22



 IED攻撃で一度に死亡した米兵5人を含め、この2日間では少なくとも米兵14人が戦死しました。また、ゲーツ国防長官が「15ヶ月の現地勤務は最悪のケース。できるだけ早く12ヶ月勤務と1年間の帰国へと戻し、いずれは12ヶ月勤務と2年間の帰国にしたい」と語りました。とても本気とは思えませんが…

 軍事的な動きは相変わらずなので、近未来の軍政策の眼目であるゲイ問題をmilitary.comの記事で考えます。私は軍のゲイ問題が、軍隊という組織にどのような変化をもたらすのかに興味があります。軍というところは非常に保守的で、変化がほとんど起こらない場所です。ゲイの容認は軍の歴史にとって画期的な出来事となり、何か変化を起こすのではないかと期待しています。

 6月14日の国旗制定記念日に、ゲイ・レズビアン・異性愛・性同一性障害の歴史協会(The Gay, Lesbian, Bisexual Transgender Historical Society)が、軍の差別の歴史を展示しました。この展示会は、クリントン政権下で制定された「言わない、聞かない」政策を無効にする目的で開催されました。「言わない、聞かない」政策は軍の同性愛差別を止めさせるために制定されたのですが、同性愛者たちは不十分だと、さらなる改善を求めています。この展示会では、第2時世界大戦からイラク戦争までの同性愛差別に関する展示物を展示しています。展示物には、1975年に上官に軍が同性愛禁止を止めることを希望すると申し出たレオナルド・マルコヴィッチ軍曹の勲章や制服など、政府の書類や口述による歴史的事実などが含まれます。

 統一軍規法典に定められているアナルセックス罪は、アナルを使った場合だけでなく、オーラルセックスも禁止しています。しかも、実際に起こる問題は条文以上に及びます。米国海軍士官学校大学院卒で退役した原子力潜水艦艦長のスティーブ・クラーク・ホールは20年のキャリアを持つ海軍軍人でした。彼は、2つの名前と電話番号、住所を持ち、別人を装っていました。軍人の時と、ゲイとして行動する時とを、彼は完全に分けていました。ゲイとして生きるため、ロスアンゼルスのゲイバーに通うためです。後に、彼はゲイであることを隠さなくなるのですが、それは仕事の上で周囲から信頼されていたからでした。また、潜水艦のような特殊技能が必要な分野では、新しく人員を配置するのが大変なためでもあります。マルコヴィッチの墓碑銘には、こう書かれているそうです。「私が2人の男を殺すと軍は勲章をくれた。そして、私が1人の男を愛するとクビにした」

 察しのよい人なら分かるでしょうが、アナルセックス罪は現場を押さえない限りは罪にならず、そんな機会はよほどのことがない限り不可能です。同性愛者が軍に勤務するのは実質的に防げません。そこで代用的懲罰として、嫌がらせやリンチがはびこることになります。実は、ここに問題があるのです。ホールのように「辞められると困る」ほどの技能の持ち主でない限り、こうした私的制裁の被害者となり得ます。なにしろ統一軍規法典でアナルセックスを禁じているのだから、被害者は訴えることができませんし、仮にそうしても軍事法廷は歯切れの悪い反応を示すだけです。だから、それを改善すべきだという運動が起こったのです。今後、この問題がどうなるのかに興味が湧きます。サン

 この展示会は1年間継続して開催されます。フランシスコ周辺にお住まいや訪問の予定がある方は、同協会の3階に行ってみて下さい。一般公開は午前6〜8時までです。(地図はこちら

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