ブッシュ政権に対する批判を行った個人緊急予備役(Individual Ready Reserve)の海兵隊員リアム・マデン(Liam Madden)を、海兵隊が除隊処分にしないことをmilitary.comが報じました。
2010年に除隊する予定のマデンは、今年1月にワシントンでデモ行進した際に、迷彩服を規定に違反する形で着用し、2月にニューヨークで「ブッシュ大統領は兵士を裏切った。イラクでの戦いは戦争犯罪だ」と批判する演説を行いました。マデンは、5月に調査担当士官から、非軍事裁判では最悪の除隊で、健康保険給付の一部減額の可能性がある、名誉除隊に該当しない形で除隊されるべきだと勧告されました。しかし、海兵隊はマデンが演説以上の政治活動を行うことを正当化できず、服装規定ではマデンから十分な予告を受けていたことを理由に、いずれも問わないことにしました。
個人緊急予備役は、応酬されるまでは、訓練などの活動に参加する義務を負わず、給与も支払われない予備役の一種です。通常の予備役よりは一段階、軽い兵役だといえます。今回の海兵隊の措置が、純粋な法的議論の結果なのか、人員不足が関係しているのか、海兵隊もこの戦争にはうんざりなのか、を知りたいところです。
兵士が戦争に反対する戦争には勝てません。イラクに行った兵士が米政府の欺瞞に気がついた時、アメリカはこの戦争に負けたのです。今後、こういう事例はますます増えていくでしょう。こうした不満に対処するためか、上院が傷痍軍人の医療制度の改革に乗り出しています。誤った戦略の穴埋めをするのは大変です。