military.comによれば、イラクとアフガニスタンにおける米軍の毎月の戦費は120億ドル(1兆4520億円)で、2年前の月額戦費80億ドル(9,680億円)よりも増加しています。戦費の内訳はイラクが100億ドル、アフガンが20億ドルです。
米議会調査局によれば、同時多発テロ以降に戦争関連に使われた費用は6,100億ドル(73兆8,100億円)。イラクだけに費やされた費用の総額は4,500億ドル(54兆4,500億円)。2007年度予算1,660億ドル(20兆860億円)は2006年度予算の40%増しです。9月末までの増派に関する追加費用は56億ドル(677億円)だという国防総省の見積もりにも疑問が提示されています。費用が増加した理由は、装備の更新・修理のためとされています。
インフレを含めた資産でも、ベトナム戦争の戦費は6,500億ドル(78兆6,500億円)と、記事には書かれています。また、これらの数字は国防総省の予算であり、復員軍人局の予算など、別途必要となる費用は含まれていません。負傷兵の増加により、彼らの治療にかかる費用が急増しています。復員軍人局の年間予算を御存知でしょうか。2007年度の同局の年間予算は約800億ドル(約9兆6,800億円)です。傷痍軍人の面倒をみるためには、下手な戦費並の費用がかかるのです。
こうした戦費の上昇は研究家によって予測されてきましたが、それを上回るペースで増加しています。「血は高くつく」といいますが、正にその通りです。そして、今週公表される中間報告には「進展なし」と書かれる見込みです。成果のあがらない戦争を命じたブッシュ政権に問題があるのです。最近、軍に志願する人が減っているという報道もあります。国民のイラク戦に対する支持は減っている証拠でしょう。戦費がかかるのは軍がコストを考えない組織だからです。発注する時も仕様を満たすかだけが議論され、コストを下げる努力はほとんど払われません。費用は国が払ってくれるからで、コスト節約で粗悪な装備が与えられることを誰もが嫌がるからです。政治家は愛国者ぶるために法外な予算も認める傾向があります。
確かに、金をケチって失敗するのは愚かです。しかし、軍事活動にかかる費用は巨額で、国家財政を圧迫しかねないほどであることを忘れるべきではありません。現代は第2次世界大戦のように、大恐慌が生んだ不景気を戦争特需が追い払ってくれるという時代ではないのです。