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戦力を復活させたアルカイダ

2007.7.13



 military.comによると、シリアとイラクの国境でトラックから自爆用ベルト200個が押収されました。米軍広報官によると、一月に60〜80人の外国人戦士が入国しており、その内の70%がシリアを経由しています。また、自爆犯の90%以上が外国人のアルカイダ戦士だと言います。

 この記事は、イラクのラマディにある橋を狙った自爆犯の一人はサウジアラビア出身だと書いています。アメリカはイラクとアフガニスタンで盛んに活動していますが、考えてみると外国人戦士にはサウジ出身者が非常に多いのに、アメリカがサウジ政府とどのようなテロ対策をしているのかが、あまり問題にされないことに気がつきます。外国人戦士が減らないと、いくらイラク・アフガンで警備活動をしても前進はありません。

 別の記事によれば、米政府は新しい脅威アセスメントを作成しました。その書類はまだ機密のため詳細は明らかではありませんが、アルカイダは作戦能力を911事件以降のレベルに戻すために、アフガン=パキスタン国境地帯に隠れ家を作ったと書かれているようです。同種の意見を、CIAの分析局を率いるジョン・クリンゲンが下院軍事委員会で述べています。米政府内で悪い分析結果が出ても、政権レベルで認めないために、問題の存在がいつまで経っても非公式なレベルを超えられないのはよくあることです。

 やはり、問題の根幹は明らかです。現在の対テロ政策は、サウジなどイスラム国全体にテロ志願者が生まれる原因となっているのです。テロリストになろうと思い詰める若者が減る環境を作らない限り、アルカイダを抑えることはできません。そこにメスを入れることが最大の政治テーマなのであり、軍事的手法は筋違いなのです。以前から繰り返し指摘されていることに間違いはないのです。

 真の問題はブッシュ政権がそれを決して認めないことです。最近、ブッシュは来年から治安が安定することを条件に一部撤退を口にしましたが、リップサービスに過ぎません。来年のことなど正確に予想できるものではありません。適当に遠い未来に撤退という話はこれまで何度も聞かされ、実現しなかった話です。米下院は223対201で、2008年4月1日までにイラクから撤退する法案を可決しました。議会の流れはすでに撤退の方向で動いていますが、政権レベルでは何の動きもありません。次期大統領選挙までは実質的な動きはないでしょう。このまま進むと、対テロ政策は手遅れになる気がします。

 なお、ザ・ファクタが民間軍事企業に関する興味深い記事を掲載しています。現代でも、戦争の陰には宗教が介在していることを教える記事です。イスラム教だけでなく、キリスト教が大きく関係していることに着目してください。戦争のような出来事は宗教的信念でもなければ、やっていられないものなのです。

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