イラク人のハシム・イブラヒム・アワドを殺害した件(ハムダニヤ事件)で起訴されているトレント・トーマス伍長に対して木曜日に有罪判決が下り、罪刑の言い渡しを待っているとmilitary.comが報じました。最高で仮釈放なしの終身刑が言い渡される見込みです。トーマス伍長は二児の父ですが、最高刑の場合、子供と暮らすことは諦めなければなりません。
この事件は何度もこのサイトで取り上げてきましたが(記事はこちら)、最終段階はレポートしていませんでした。1月20日付の記事で書いたように、トーマスは非計画的殺人罪、誘拐罪、共謀罪で有罪を認めていました。しかし、2月に判決公判の前に有罪答弁を撤回していました。このために、判決申し渡しが延期されたようです。判決公判で、トーマスは計画的殺人、虚偽の声明、住宅侵入罪、窃盗罪では無罪とされましたが、誘拐罪と非計画的殺人罪では有罪となりました。
刑が厳しい内容になることが予想されます。判決公判の直前に有罪答弁を撤回したことは、裁判官の心証を悪くしたと考えられるからです。こうなるとトーマスの選択肢は少なくなり、妻が再婚しやすいように離婚し、子供を養いやすくしてやる必要があるでしょう。
トーマスは公判で犯行の理由として「我々は爆弾を投げつけられることに疲れ切っていました」と述べています。戦いが長引けば、このように戦場に適応できなくなる人が必ず出てきます。海兵隊の伍長が務まる人なら、一般社会でも多くの職場で働けるはずです。それが異常行動に走ったために人生を棒に振ることになるのです。これが戦争の問題の一角といえるわけで、これまで散々実例を出しながら改善が見られない分野なのです。若者を英雄とおだてて罪人にする危険性を増やさないように、一般国民が目配りをする必要を感じます。国のためにやっているつもりが、その国から処罰されることがあるのが兵士です。このことを、もっと真剣に考えておく必要があります。
そんな海兵隊にもよいことはあるようで、久しぶりに隊員が銀星章を受勲しました予備役のジェフ・ハンター退役軍曹(当時は伍長)は2005年5月に待ち伏せ攻撃で負傷した分隊長を庇い、攻撃を押し返した件で表彰されました。記事の原文はこちらです。