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アフガンの韓国人誘拐事件について

2007.7.29



 アフガニスタンでの韓国人誘拐事件について情報を整理してみましたが、どの情報も不確実で、状況を正確に判断するのは無理という結論に達しました。この調子だと、どのタイミングでもコメントを出すことはできそうにありません。

 適当な推測ならいくつか考えつけますが、この種の事件ではそれは不適切です。唯一、確実な情報は、宋旻淳(ソン・ミンスン)外交部長官が金章洙(キム・ジャンス)国防長官に手渡した「8+6+9」と書かれたメモくらいです。3つの数字の合計が誘拐された人数に等しく、タリバンが交換したがっている捕虜の数が9人。さらに、「8+6」の下には「金。解決」、「9」の下には「強硬」と書かれていることから、メディアは「14人は金を払えば解放してもらえる可能性があり、9人は捕虜とでなければ解放される見込みがない」と推測しています。私もこの推測は妥当だと考えます。

 8人が釈放されたと報じられた後に、1人が殺されたと変化した真相についてはタリバン分裂説など諸説出ており、いずれが正しいのかは判断できません。メディアは様々な情報源が語った推測に振り回されている感じです。韓国政府もペ・ヒョンギュ牧師が殺害された理由ははっきりと分かっていないと、私は推測します。病人がいるといった情報もタリバンが交渉を有利に進めるためについた嘘かも知れません。電話でインタビューに答えた人質は、脅されてタリバンが言わせたい台詞を言わせられたはずです。これらの情報はまともに聞かない方が無難です。

 アフガン政府がこれ以上タリバンに妥協して人質高官を行えないことを考えると、韓国にとって望ましい結果になる可能性は非常に小さいことになります。ただ、人質に女性が多いことは、殺害される恐れを多少は減らすかも知れません。武装勢力が女性の人質を殺すことはどちらかといえば少ないのです。もっとも、それは少ないというだけで、皆無とは違います。女性運動家1人がイラクで殺害された実例があります。(人質の人数については若干疑問があるようで、朝鮮日報が「女性16+男性7」「女性18+男性5」の両説を紹介しています。)

 アフガニスタンではNATO軍が指揮をとっていますが、米軍もいます。NATO軍に援軍を要請して断られたので、米軍は自軍を増派しました。朝鮮日報によれば、アフガンには8千人の米兵士がいます。人質救出作戦は米軍が訓練したアフガニスタン軍が行うということです。正直なところ、アフガン軍がこの種の作戦を上手くやり遂げるとは考えにくいものがあります。米軍は救出作戦について何も言ってはいませんが、準備はしているはずです。空軍がほとんどないアフガン軍が単独で救出作戦を行えるはずはなく、米軍が上空から支援する必要があるからです。

 military.comが、宗教指導者だけでなく、元タリバンのメンバーや影響力のある年長者が交渉に参加したと報じました。こうした努力が実を結ぶことを祈るしかありません。また今後は、イギリスのような海外でも同種の誘拐事件が起こる可能性についても考える必要があります。実例はありませんが、今後は予測しておくべきです。

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