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イラクでも民間警備員が誘拐される

2007.7.31



 ワシントン・ポストがイラクで誘拐された民間軍事企業社員について報じました。昨年11月16日、クレッセント・セキュリティ・グループ(Crescent Security Group)の警備員が警護する輸送隊がイラク南部のバスラで襲われ、4人が人質になっています。

 この日、輸送隊は武装勢力が作り出した偽の検問所に引っかかり、拉致されました。誘拐された警備員はすべて米軍退役兵です。クレッセント社は事件が起きた時点で従業員が17名の小さな会社ですが、毎月600人の求職者がいるといいます。

 12月26日、4人の人質は武装勢力が公表したビデオに登場しました。人質の一人ジョナサン・コーテの鼻は腫れ上がり、血痕がみられました。コーテは自己紹介した後、「私は、私と友人たちをここから逃がすために、政府にイラクから撤退するように圧力をかけるようにお願いします」と述べました。12月21日と22日の日付がついた2番目のビデオが1月3日に公表され、同種の要求が行われました。しかし、犯人とは連絡が取れていません。それからすでに半年以上が経っているので、人質の声明は絶望的です。この場合、武装勢力には実際に米軍を撤退させる意図はなく、プレッシャーを与えることが目的だったと思われます。

 いくら体を鍛えても、拷問に耐えられる人間は作れません。元海兵隊の猛者でも、抵抗できない状態で肉体的な拷問を受けたら、相手に抵抗できないものです。拷問に耐えられる男は小説や映画の中にしか登場しません。情けないようでも、これが現実です。人質の中には、捕まる前に互いに銃で撃って死ぬ約束をしていた者もいましたが、現実にはそんなことはできず、自殺することもできなかったのです。そして、武装勢力のプロパガンダに協力させられる羽目になりました。

 誘拐された警備員の出身地では追悼の祈りが行われたり、イエローリボンが掲げられたり設置されたといいます。民間軍事会社の警備員も正規軍の兵士と同じ扱いなのです。前に米軍は市民軍を起源としていると書きましたが、そのために両者を同一視する傾向が日本よりも強いようです。民間軍事会社の問題は、弊害が認識されるよりも先に定着してしまったようです。

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