military.comによれば、イラク人のハシム・イブラヒム・アワドを殺害した事件で、ローレンス・G・ハッチンズ3世(Sgt. Lawrence G. Hutchins III)が禁固15年の判決を受け、二等兵への降格と不名誉除隊が課せられました。ハッチンズ軍曹は、誘拐、襲撃と住居侵入罪については無罪とされましたが、殺人、偽証、窃盗で有罪となりました。この事件で判決を待つ者はトレント・トーマス伍長だけとなりました。
この事件でまともな行動をしたのは海兵隊に派遣されていたメルソン・J・バコス3等海曹だけでした。彼はアワドを解放するよう進言しました。アワドは海兵隊員が捜索していた容疑者とは別人であり、拘束する必要がなかったのに集団で虐殺したのです。これまでの証言でハッチンズ軍曹は3発をアワドに撃ち込んだことが分かっています。トーマス伍長は10発を撃ち込んだとされており、最も重い刑が科されるものと想定されます。禁固20年というところでしょうか。
兵士には不法な命令には従わなくても良いという原則があります。命令が不法であることを知らずに従った場合はともかく、不法と知りつつ拒否しなかった場合は罪に問われる恐れがあります。しかし、現実にはそういう場面で上官に進言するのは犯行とみなされることを恐れ、多くの兵隊は上官の命令に従います。こうして、この種の事件が起こることになります。また、根底には人種差別の意識も見えます。イラク国民もアルカイダも見た目には同じですから、同一視してしまうのです。敵の外観が兵士の意識に影響を与えることはよく知られていることです。
ところで、今月は終戦関係でメディアが太平洋戦争を多く取り上げます。みなさんにはこうした報道によく目を通して、戦争について学んで頂きたいと思います。