military.comによると、ロシアは迎撃ミサイルS-400を黒海のソチに配備しました。S-400配備の距離250マイル(402km)、高度99,000フィート(30km)の射程を持ち、高度な迎撃能力を持つといわれています。
globalsecurity.orgによれば、S-400は速度4.8 km/secで飛行する標的を破壊することができ、一発あたりの命中公算は有人機で0.9、無人機で0.8です。
ロシアはこの配備を2014年の冬季オリンピックの警備のためとしていますが、ポーランドとチェコのミサイル防衛システム配備に対抗するためなのは明らかです。今一番知りたいのはS-400がどれくらいの性能かということです。巡航ミサイルと弾道ミサイルの両方を撃墜できるとロシアは宣伝していますが、本当にそうなのかははっきりしていません。弾道ミサイルは長距離になるほど速度が速くなるのが普通で、長距離弾道ミサイルになると加速を終えた段階で速度5km/secを越えるといいます。このことから、S-400は大気圏外を飛行中の場合(ミッドコース段階)、中距離弾道ミサイルまでを撃墜できると推測できます。弾頭が大気圏に再突入すると速度は当然落ちるので、この段階(ターミナル段階)なら長距離弾道ミサイルでも撃墜できる可能性があります。しかし、弾頭の誘導技術がどれほどのものかはロシアしか知りません。命中公算も実戦では下がると見るのが普通です。政界や識者、あるいはネット上で、自信たっぷりにミサイルの性能やミサイル防衛の是非を論じる人がいますが、国内で市販されているミサイル関連書籍を読んでも、命中率に関してはほとんど有益な情報はありません。そうした本の著者はミサイル防衛の関係者で、重要な情報は伏せるし、入手できない情報も多くあるからです。事実上、実戦が存在せず、実態は推測するしかないミサイル戦争は、地上戦などとは区別して考える必要があることに、多くの人が気がついていません。