ペトラエス大将のイラク治安状態の評価について、上院議員が厳しく批判したとarmy-times.comが報じました。ジョセフ・ビデン上院議員(Sen. Joseph Biden)はペトラエス大将の発言が「まったく完全な間違い(dead flat wrong)を犯している」と評しました。
ビデン上院議員は2008年の民主党大統領候補の一人で、最近イラクを訪問したばかりであり、ペトラエス大将が報告を行う委員会の一つのメンバーです。「いくらかの治安の向上はあったものの、私が最も深刻な問題の宗派抗争を扱っていたバグダッドやアンバル州には事実上、安全保障が存在しないのが現実です」「私は本当に彼を尊敬します。でも、彼はまったく完全な間違いを犯しています」「大統領は、どうやって勝つか、どうやって撤退するかの戦略を持っていません」「私は、アメリカ国民を守り、アルカイダと戦うために必要な兵力を除いて、兵士を撤退させることを断固として始めることを推奨しますし、米軍戦闘部隊を退却させる期日を定めることを推奨します」
その他、2004年の大統領選挙の候補者であったジョン・ケリー上院議員(Sen. John Kerry)の同種の意見、共和党のリンジー・グラハム上院議員(Sen. Lindsey Graham)のペトラエス大将を擁護する意見が記事に載っています。恐らく、ペトラエス大将とクラッカー大使の議会証言は大きな批判を浴びることになるでしょう。ワシントン・ポストが最近実施した世論調査では、イラクにいる米軍の数を削減したいと答えた人は58%で、これまでの最高値を示しました。米軍を来年春までに米軍を撤退させる期日を定めた法案に賛成する人は、7月と同じ55%でした。
アメリカでは、米政府がイラクの進歩状況をごまかそうとしていると感じている人が増えているようです。ところが、日本にはそうした動きをまったく気にしていない人がいます。安倍晋三総理大臣はテロ特措法の延長が成立しなければ退陣すると発表しました。彼にとって一番大事なのは、アメリカの対テロ戦争に加担することだったようです。これまで一度も退陣の意志を表明したことがない安倍総理が、テロ特措法にここまでこだわりを持っているとは、私は考えませんでした。
安倍総理にはテロが拡散しているという認識はないのでしょうか。アルジェリアで最近2回の自爆テロが起こり、「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ組織」の犯行が疑われています。今月6日には、北東部のバトナでブーテフリカ大統領を狙った自爆テロで少なくとも20人が死亡。8日には、同じく北東部のデリスで、海軍兵舎に対する自動車爆弾テロがあり少なくとも28人が死亡、約60人が負傷しました。世界がイラクに視線を向けている間に、別の地域ではアルカイダがその緩やかなネットワークを拡げています。アメリカの対テロ戦争はテロを追いつめるどころか拡散させています。そんな戦略に最後までついていきたいとする安倍総理の神経は理解できません。