今朝のテレビ番組に出演した石破茂防衛大臣は、インド洋での給油問題について語りました。
洋上給油が成果をあげているかどうかについては、「相当な効果をあげている」と述べましたが、具体的な情報はあげませんでした。さらに、「武器密輸が減ったかどうかの評価は、警察官をこれだけ配置したから、これだけ犯罪が減ったと証明するのは難しい」と言いました。この発言にはちょっと笑いました。この理屈なら、イラク増派後にテロ事件が減ったかも証明できないことになりそうです。しかし、普通、警察行政に関する評価をする場合、警察官の数と犯罪発生件数の比較はよく使われる手法だと記憶します。だから、それを理由にするのは変ですし、そもそも効果が出ているというのは、石破氏の希望的観測に過ぎず、何の根拠も持っていないのだろうと推測します。洋上で押収した武器や麻薬の量だけでなく、臨検を行った数についても多国籍軍が把握しているはずですから、問い合わせれば分かることでしょう。こうした数字は公表しても、作戦遂行上、何の支障もありません。
また、石破氏は洋上給油の内容については、「1回ごとに書類で確認している」と言いました。この書類は、いつ、どの艦船に、どれだけの経由や水を補給したかを示すものでしょう。米軍の補給艦に補給した場合、その補給艦がどの艦船に補給したかは分からない書類だと推測できます。恐らく、米軍も直接戦闘艦に補給すると日本の法律上問題があるので、補給艦で受け、それから戦闘艦に補給したのに違いありません。日本政府がやるべきなのは、新法を作って洋上給油を継続する時、補給艦を介した給油を禁じることです。
最後に「情報公開は徹底的にやる」と言い切った石破氏ですが、南方の警戒作戦とイラクの自由作戦に参加していたキティホークに給油した件を、不朽の自由作戦に使われたと防衛省が説明しているのはどう説明するつもりなのでしょうか。民主党がこのことを攻撃材料に使わないわけはありません。
何より大事なのは、日本が洋上給油にこだわっている間に、アルカイダが活動範囲を広げていることです。中国の春秋時代「孫子」の時代において、すでに正面切って敵と対峙せず、敵の勢力が薄いところを選んで戦う戦術が確立されていました。アルカイダも自然にこうした手法を採用しています。翻ると、日本がやっていることは本当に“自然”とは思えない手法ばかりです。