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元英軍参謀総長がラムズフェルドを批判

2007.9.3



 ワシントン・ポストによると、2003年のイラク侵攻時にイギリス軍の参謀総長で、昨年退役したマイク・ジャクソン大将(Mike Jackson)が10日に発売される著書「Soldier」の中で、ドナルド・ラムズフェルド元国防長官を厳しく批判しています。

 ジャクソン大将は、ラムズフェルドは「知性面が崩壊」しており、「現在のイラク状勢に最も大きな責任がある」と述べました。また、戦後統治の責任を国務省よりは国防総省に与えたことでブッシュ大統領を批判しました。国務省によって行われた計画のすべてが無駄になりました。国防総省は必要とされた兵力の半数も派遣せず、ラムズフェルドと彼の周囲の人たちは「連合軍の兵士が、解放軍として(イラク人に)受け容れられることはイデオロギー的な信条である」と述べたといいます。

 他に別の英軍将官の意見も載っていますが、「イデオロギー的な信条」というラムズフェルドの発言は彼の軍事音痴を証明立てるものとして十分すぎるほどです。軍事に関して、絶対的な概念の上にあぐらをかくことは、失敗の第一の原因です。クラウゼヴィッツの時代から、戦争には絶対的な勝利はなく、すべて相対的に捉えるべきだと言われているのです。確実な予測が可能なのは本当に小規模な戦闘だけで、10万人を越える戦争については、幾通りもの予測を行い、どの場合でも勝利にたどり着けるように戦略を組み立てる必要があります。私でもバグダッドを占領した後は確実にゲリラ戦に移行し、見通しが立たなくなると予測できました。最初に米軍が攻撃されたというニュースが報じられたときは、「やはり来たか」と思ったものです。

 アメリカの国防長官に対する英軍高官の直接的な批判は、イラクからのイギリス軍の撤退が確実になった今、一気に流出して生きたようです。今後、さらに詳細な情報が出てきて、2003年のイラク侵攻の失敗が一層浮き彫りになっていくことでしょう。反戦運動家や左翼勢力がイラク政策を批判するのでは今ひとつ説得力がないと感じてきましたが、今回、元英軍高官が口火を切ったことで、軍事的な視点によるイラク政策の批判という流れが生まれることを予感しました。

 デイリー・テレグラフに関連記事が連載されていて、ジャクソン大将の意見をさらに知ることができます。私には記事をまとめる時間がないので、興味のある方は是非お読み下さい。彼の音声インタビューも聞くことができます。

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