ミサイル防衛に久しぶりに進展がありました。先の8月23日にエアボーン・レーザーの発射テストが成功したとmilitary.comが報じました。エアボーン・レーザーは打ちあげ直後のミサイルを飛行する航空機からレーザー光線を発射して破壊するというコンセプトの兵器です。レーザーはミサイルの燃料タンクに向けて発射され、隔壁の強度を弱めることで、ミサイルにかかっている圧力がミサイル全体を破壊する仕組みです。
しかし、今回は試験機NC-135Eが低レベルのレーザー光線で目標を追跡し、照射しただけです。これで射撃管制システムの実験を終え、ミサイルを破壊する能力を持ったレーザー兵器を搭載します。実際に、目標を破壊するテストは2009年に実施される予定です。先にシステム全体の開発を済ませ、それから最高1メガワット級といわれる化学レーザーを搭載するのです。
記事には、日本はエアボーン・レーザーを配備することに乗り気ではなく、レーザーに使われる化学物質の取り扱いが成功したことで、日本がこの兵器を領土内に配備することに賛成するのを助けると書かれています。日本がエアボーン・レーザーを購入する予定がないのは、こういう理由だったのでしょうか?そして、アメリカはエアボーン・レーザー日本に売り込む気なのでしょうか?それとも単に在日米軍に配備したいと考えているのでしょうか?
例によって、この記事には、NC-135Eが追跡と照射を行った目標に関する情報は一切ありません。目標の大きさ、速度、進行方向、NC-135Eからの距離などは伏せられたままです。NC-135Eは1機の価格が15億ドル(1,770億円)と推定されています。
私はエアボーン・レーザーの効果には疑問があると考えています。すでにロシアのミサイルが対処策を講じ始めていますし、エアボーン・レーザーを開発するよりも安価に対抗できる可能性があるからです。しかし、その対処をする余裕すらない国にとっては厳しい問題になるかもしれません。それも成果と言えば成果ですが。