米軍に協力するようになったスンニ派のグループが縄張り争いをする問題が浮上していると、military.comが報じました。
記事には親米スンニ派グループが別の親米スンニ派の若者を拉致し、アルカイダに関与していると鞭打ちにした事例が紹介されています。若者は米兵に傷を見せて抗議したものの、兵士たちにもどうすることもできなかったという訳です。バグダッド南部にいる親米スンニ派グループは互いに協力できず、縄張りを巡って争っています。
参加するスンニ派戦士が一年以下で65,000〜80,000人に達し、100,000人に届こうとしていることも問題にもなっています。毎月数千人が志願している状況で、スパイや過激派を適切に判別できないという問題が出ています。まもなく、親米スンニ派グループが制御できなくなるという米軍指揮官のコメントは非常に気になることです。記事には、密輸組織として有名で、一部は米兵を殺したこともある武装勢力だった部族が、米軍と同盟を結んだ事例が出ています。彼らに武器が渡され、訓練が施され、過激派は勢力を失いました。一件問題は解決したように見えますが、本当に問題がないのかは疑問です。
心配していたとおりというか、親米的なスンニ派グループも一皮剥けば武装勢力と大して変わらないことが明らかになりました。イラクでは成人男性が武器を持って地域社会を守るのが当たり前なので、武器を使える者を集めると、必然的にこういう状態が生まれるのです。イスラム社会での治安の意味合いは、先進国のそれとは大きく違います。どう組み替えても、争いは絶えないということになります。
また、ワシントン・ポストが、2003年以降の女性の自爆攻撃の一覧を報じました。詳細は記事を見て頂くとして、数については下図の通り、徐々に増えていることが分かります。戦いは男性の役目というイスラム社会で、女性の自爆犯が増えるのは、かなり異常なことです。治安が安定しつつあるのなら、この数は減っていくはずです。本当に、イスラム社会の動きは読みにくいのです。