海兵隊による虐殺事件の裁判が開廷か?

2008.1.9



 military.comによると、ハディーサ事件のアフガニスタン版のような事件の裁判が始まる可能性が出てきました。この裁判は、海兵隊の特殊部隊の隊員が、約19人の民間人を殺害した事件です。

 昨年3月4日、ナンガハール州(Nangahar province)で、120人の中隊指揮官フレッド・ガルヴィン少佐(Maj. Fred C. Galvin)と小隊指揮官ヴィンセント・J・ノーブル大尉(Capt. Vincent J. Noble)が輸送隊に自動車爆弾攻撃が行われた後、海兵隊員が道路沿いに10マイル(約16km)中の、6カ所において、車、バス、タクシーに乗った人たちを無差別に攻撃しました。19人が殺害され、約50人が負傷しました。海兵隊員は1人が負傷しただけでした。

 事件後、命令により、事件に関与した8人が基地へ戻され、中隊の残りはアフガニスタンから移動させられました。米陸軍の第10山岳師団の旅団指揮官ジョン・ニコルソン大佐が、遺憾の意を表明したのですが、海兵隊司令官ジェームズ・T・コンウェイ大将は、事件が調査中であることを理由に謝罪は早すぎると主張しました。被告の弁護人のひとりは、自動車爆弾の現場から約3マイル(約4.8km)離れた場所で小火器による攻撃を受けていると主張しています。また、負傷者の少なくとも一人が補償を受けるために負傷を申告しろと言われたと述べていることが、海軍による調査で明らかになっています。裁判になるかどうかは、最終的に海兵隊中央軍司令官サミュエル・ヘランド中将によって決定されます。

 16kmにもわたって、いもしない敵に向かって発砲を続けたのなら、かなりの異常事態です。特殊部隊が混乱して、訳の分からない行動をすることは過去にもありましたが、普通は短時間に起こるものです。この事件はかなり変な感じがします。海兵隊の言い分にも変な感じがします。銃撃を受けたにしても、4.8kmも離れているのなら、自動車爆弾とは関係のない別の攻撃と考えるのが普通でしょう。現に、19人が死亡しているのなら攻撃は行われたのでしょう。被害を受けた方にすれば、理由はどうあれ納得いかないことでしょう。まもなく、もっと詳しい情報が出てくるでしょうから、それを見てまた考えてみたいと思います。

 別のニュースですが、米軍とイラク軍が合同で、イラク北部においてアルカイダ掃討作戦「ファントム・フェニックス」を始めたという記事もあります。アルカイダがディヤラ州(Diyala)とニナーワー州(Nineveh)に活動を移していることに対する対応策のようです。成果については、まだ記述がありません。


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