イランが映像は偽物と反論

2008.1.10


 military.comによると、イラン革命防衛隊は駆逐艦ホッパーの艦橋から撮影されたビデオ映像を偽物だと主張しています。映像は資料映像で、音声は捏造されたものだと断定しています。

 BBCニュースが放送したイラン側の映像では、確かに3隻の軍艦に向けて、イラク兵らしい隊員が英語で呼びかけを行っていました。しかし、単に「こちらはイランのパトロールボート」と繰り返しているだけで、船籍の確認をしたとはっきりと示した音声はないようです。BBCのレポーターも非常に聞き取りにくい音声だと言っていました。米艦はこれに対して「当方は公海上にいる」と返信しています。写っているイラン軍のボートも、アメリカが発表した映像のボートと同じ形に見えます。おそらく、イランのビデオ映像も本物です。アメリカはもイランも、お互いに必要な部分、都合のよい部分だけを公開したので事実が食い違ったように見えたのです。でも、起きたことはひとつだけです。

 この映像によって、事件がイラン革命防衛隊の訓練であった可能性が高まったと考えます。やはり、あのような小型の高速ボートを使ったこと自体が疑問です。小型ボートは長距離を航行できないのですから、パトロールのような任務に使うとは考えにくいのです。ホルムズ海峡は幅が100kmくらいで、イラン側から航海までを往復するのには、ざっと100kmでしょうか。小型ボートの航続距離は150〜250km程度でしょうから、パトロールに使えないわけではありませんが、ちょっと心許ないところがあります。だから、航路として使われている海域に真っ直ぐに向かい、米艦が通るのをじっと待ちかまえたと見るのが妥当でしょう。船籍を識別するために無線を使ったのは、実は攻撃されないための方便に過ぎません。何も言わずに接近して、米艦が慌てて攻撃してきたら、小型ボードなどひとたまりもありません。レーダーだけでなく、無線でも自分たちの存在を示すことで、安全を図っているのです。そうしないと恐いのが本音なのです。それくらい米艦の攻撃は正確で破壊的です。いまや、カミカゼ攻撃が通用する時代ではないのです。

 もし、イラン領海内でこのことが起きたのなら、イランは挑発だけでは済ませなかったでしょう。本当に攻撃したはずです。


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.