military.comによると、IED(簡易爆弾)に対抗するために増産されているMRAP車(Mine-Resistant, Ambush-Protected - truck)で初の死者が出ました。
先週末、バグダッドの南方で、MRAP車の19歳の機銃手がIEDで死亡し、車内にいた3人の兵士が負傷しました。車両は爆発の後で横転しました。事件は調査中で、詳細は不明です。車の上に取りつけられた銃座にいる兵士は、車両が横転すると車外に放り出されたり、車の下敷きになったりして死亡することが多分にあります。機銃手が爆弾と車両横転のどちらで死亡したのかは明らかになっていません。しかし、この状況からすると、横転で死亡した可能性は十分にあります。そういう意味では、IEDで死亡したと断言することはできません。
MRAP車には、これまではっきりしていない疑問があります。ひとつは、MRAP車に乗っていながらIEDで負傷した兵士がどれくらいいるのかということです。これまで、MRAP車で死亡した兵士はいないと宣伝されていますが、なぜか負傷者は紹介されません。もし、MRAP車に乗車中に負傷して、戦闘に復帰できなかった兵士が大勢いるのなら、IEDはMRAP車を破壊できないとしても、大きな戦果をあげていることになります。だから、この数字は非常に重要なのですが、これまで目にしたことがありません。どこかで報じられているのかも知れませんが、今のところ正確な数字を見たことがありません。
もうひとつは、今回の事件では明らかにならないかも知れませんが、IEDでMRAP車を完全に破壊することができるのかという問題です。武装勢力が仕掛けられる規模の爆弾で、構造を工夫することでMRAP車を破壊できるとすれば、この車両の価値は非常に下がってしまいます。そうでなくても、この車はサイズによって50万ドル〜100万ドルの製造コストがかかっています。アメリカに出費を強いるだけでも、効果は十分にあるわけです。記事によれば、イラクには1,500台のMRAP車が使われているといいます。
今回のように、MRAP車を横転させるだけでも効果は十分にあると言えます。V字型の底面も完璧ではなかったことになるからです。それが明らかになったら、武装勢力はその戦術を大々的に使うようになるでしょう。つまり、今回の事件はそうした問題を判断する上でとても重要なのです。