military.comによれば、ブッシュ政権はパキスタンが希望すれば、同国に小部隊を派遣することを望んでいると、ロバート・ゲーツ国防長官が記者会見で述べました。
アメリカがパキスタン軍の支援を増加したがっているのは決定的のようです。しかし、ファロン大将が先に発表し、あとから国防長官が認めるのは話が逆です。政権よりも先に軍からこの情報が出たのは、米国内の世論を考慮してのことだったのかも知れません。
ゲーツ長官は、訓練と共同作戦でパキスタンを援助する可能性について述べましたが、今のところは訓練が主眼で、戦闘はやや可能性が低いというところのようです。しかし、その可能性を初めて認めた点は注目に値します。アメリカが昨日ここに書いたようなレベルの支援を考えていることが分かったのは重要です。
イラク、アフガニスタン、パキスタンで米軍が軍事活動を行えば、当然イランを刺激します。これら四ヶ国の連続する地域が同時に軍事紛争に陥ったらどうなるのかを想像することは、とても難しく、危険なことです。
ところが、ムシャラフ大統領が米軍部隊の派遣を望まないという記事も現れました。パキスタン国民がそれを許さないというのが理由です。大統領は、山がアフガニスタンよりも高く、通信インフラがないこともあげました。もっとも、通信インフラは米軍が自前で用意することでしょう。大統領は、米軍はアフガニスタンでの活動を増やすべきだとも述べました。
米軍を国内に入れることにパキスタン国民が抵抗するのは予想できることです。ただでさえ反発を受けているムシャラフ政権に対する批判がより高まり、国内が不安定になる恐れがあります。しかし、この問題はこれからの交渉で変化し、派兵が実現する可能性もあります。地上部隊が駄目なら、空母で航空機を派遣して、武装勢力を攻撃するパキスタン軍を支援するという方法もあります。いずれにしても、これは事態に大きな影響を与えることになるでしょう。
また、別の記事では、デビッド・ペトラエス大将(General David H. Petraeus)が今年秋後期から年末まではイラクに残留するというゲーツ長官の言を紹介しています。先日の報道では9月末までに転任といわれていました。しかし、この長官の発言は、転任自体は確実ということを裏づけたような感じがします。対テロ戦争の今年の展開が少し見えてきた感じがします。