誘拐された米人女性は未だ不明

2008.1.28



 本日もニュースは色々とあるのですが、特に「これはお話ししておかなければ」というものはありません。そこで、あまり大きな話題とは言えない事件を取り上げます。

 先日、アフガニスタンのカンダハールで、アメリカ人の女性シッド・ミゼル(Cyd Mizell)とアフガン人の運転手アブドゥール・ハディ(Abdul Hadi)が武装勢力に誘拐されました。ワシントン・ポストが、その続報を報じました。目下のところ、犯行声明はありません。支援団体(the Asian Rural Life Development Foundation)で働いているミゼルは、アフガン人の女性が使うブルカを着用し、現地文化を尊重していました。カンダハールの大学で英語を教え、少女のための学校で刺繍を教え、パシュトゥーン語も話せるとのことです。記事によれば、昨年、アフガンでは、23人の韓国人、2人のドイツ人建設労働者、2人のイタリア人ジャーナリストが誘拐されました。これらの事件を記憶している人は多いでしょう。しかし、意外にもアメリカ人の民間人が誘拐されることは希で、2005年春に一時的に誘拐されたことがある程度です。記事によれば、昨年たくさんのアフガン人が誘拐され、身代金を取られました。政府が人質に対して多額の身代金を払うという噂が国中に拡がっているのです。

 今回の誘拐が身代金目的かどうかは、まだ分かっていません。考えてみると、アメリカの民間人を誘拐するのは、最も効果的なテロの手法と言えます。しかし、こうした事件はアフガンではこれまでほとんど起こりませんでした。この辺がイスラム教徒の不可解なところです。イラクとアフガンでは、人種間の特徴もかなり違っているはずですが、どちらの国でも国籍を問わずに誘拐する点では共通しているようにみえます。今回の誘拐が何らかの計略の元に行われたのか、偶発的な要素が大きいのかが気になります。私の直感では、あまり計画性は感じませんが、実際のところは分かりません。しかし、テロ組織の誘拐は常に戦略ではなく、経済的な理由で行われてきました。これはアフガンでも変わることはありませんし、イラクでも身代金目的に金持ちを誘拐する武装勢力がたくさんあります。こうしたテロの副産物のようなものが、副産物以上の影響をもたらすのです。


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