military.comによると、9日にNATO防衛大臣の会議が行われ、ソマリアの海賊に対抗するための海軍艦艇の派遣が正式に決定されました。
NATOのフリゲート7隻が2週間以内にソマリア沿岸に派遣され、アフリカに食糧を運ぶ国連の船を護衛することになります。しかし、アフガニスタンの違法薬物に対する対策は暗礁に乗り上げたままとなりました。ドイツ、イタリア、スペインは、麻薬対策はアフガン警察の仕事だと考えており、NATOの歩調は完全に揃っていません。ドイツのフランツ - ヨーゼフ・ユング国防大臣は、麻薬工場とみなされた施設を空爆すると民間人に死傷者が出て、NATOへの信頼が損なわれると主張しています。
国連薬物犯罪事務局(UNODC)によれば、アフガンの大麻の耕作面積は、昨年の193,000ヘクタールから今年は157,000ヘクタールに下落しましたが、これは主に干ばつが原因でした。大麻製品の生産高は2007年から6%下落しました。大麻を栽培しない州は13州から18州に増加しました。アフガンには州が34あるので、半数以上の州が大麻栽培を止めたことになります。ロバート・ゲーツ国防長官は、タリバンが薬物で得た収入は1年間で6〜8千万ドルと見積もっています。
麻薬対策は少し効果が出た時点で行き詰まっています。特に、アフガンでは大麻問題を解決することが、タリバン問題を解決する鍵とみられています。9日の記事で、私は居住地域への空爆を止めるべきだと書きましたが、同様の指摘がドイツ国防大臣から出ていたようです。減ったとはいえ、アフガンの大麻の耕作面積は、2006年の日本国内の葉たばこの耕作面積18,512ヘクタール(全国たばこ耕作組合中央会調べ)の約8.5倍もあります。これでは、対策が成果をあげたとは言えません。洋上給油をするよりも、アフガンの農民が大麻を栽培しなくてもすむ環境を作る方が効果が上がるのは言うまでもありません。灌漑設備の改善、農業技術の普及こそが重要です。軍事的な手法は、今後、民生上の手法へと切り替えられていくことになります。そうした分野で日本が最初から支援をしていればよかったのにと思います。