リビアが過去のテロ攻撃で賠償を開始

2008.10.11



 military.comによれば、リビアは1980年代にリビアが関与した攻撃の犠牲になったアメリカ人の家族に賠償を開始しました。

 今年初めに、アメリカとリビアは賠償問題に関して合意していました。今回、米政府の口座に振り込まれた金額は、1988年のパンナム103便爆破事件と1986年のドイツのディスコ爆破事件に賠償するのに十分な金額(18億ドル)ではないものの、問題を解決するリビアの意志を示しました。18億ドルの内、15億ドルはこれらの事件と1989年のフランス航空機爆破事件の犠牲者へ、3億ドルはディスコ事件に関連するアメリカの空爆によって犠牲となったリビア人に支払われます。賠償金は、18億ドルに達した時点で犠牲者に支払われます。

 一連の事件とアメリカの空爆については、記事に説明が載っているので省略します。かつてはテロ国家だった国が、経済制裁によって普通の国に戻った実例がリビアです(参考記事はこちら)。武力行使も効果を生んだと考えられますが、国連が長年続けた経済制裁の方が効果がありました。こうしたリビアの歴史は、現在の対テロ戦争を考える上でも参考になるので、ぜひとも調べてみることをお勧めします。同時多発テロ以降、日本人の中にも、目の色を変えて、テロ組織との対決を叫ぶ人を見ることがありました。そういう人の大半は「言いっ放し」で、対テロ戦争の結末までを見通して発言してはいませんでした。

 2001年の同時多発テロ直後に私が考えた予測は、アルカイダだけに戦力を集中し、それ以外に戦線を拡大すべきではないということでした。装甲部隊よりは情報収集、秘密作戦、特殊部隊による限定的な攻撃が主内容になると考えました。それでも成功するのは難しく、それ故に作戦を緊密に行う必要があると見ていました。今でも、この考えは変わっていません。アメリカはイラク侵攻という、途方もなく誤った作戦にはまり込み、私のアメリカを支持する気持ちは、完全に消えました。歴史を振り返れば、対テロ戦は困難なものだと分かります。ブッシュ大統領がそのことを知っていればよかったのにと思います。


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