最近、北朝鮮に関する情報がいくつか報じられています。先だって、10月10日にロケットが打ち上げられるという噂が飛び交ったのですが、これは実現せず、特に報じられることもありませんでした。
毎年、この時期に北朝鮮は活発に行動します。2006年10月9日に、北朝鮮は地下核実験(らしきもの)を行いました。10月10日は、朝鮮労働党創建記念日にあたり、地下核実験はこの祝日に合わせて行われたと考えられます。
先日、北朝鮮は短距離ミサイル2発を発射しましたが、まだ10発以上の発射を準備しているとspace-war.comが報じました。このニュースは国内でも報じられています。韓国政府筋によると、アメリカの偵察衛星が北朝鮮西海岸にある椒島(Chodo)の海軍基地から約10発の短距離ミサイルを発射する準備をしているのを確認しました。椒島は黄海南道クァイル郡にある島です。場所はGoogle Earthで確認できます(kmzファイルはこちら)。この島には海軍基地があり、艦艇が繋留されているのが確認できますが、どこかにミサイルの演習場があるわけです。
準備が進められているのは、地対艦ミサイルKN-01、艦対艦ミサイルス・ティックス(Styx)で、黄海に向けて発射される見込みです。北朝鮮は10月15日まで椒島付近での航行を禁止していますから、この期間中に、この航行禁止区域に向けて発射されるはずです。韓国の情報筋は、先日の2発のミサイル発射は通常の訓練と見ていますが、今回の発射はそうとは思えないと考えています。
私は金正日の重病説が流れている折りですから、これくらいのミサイルを発射して、北朝鮮が元気なところを見せようということではないかと考えます。北朝鮮は、しばしば、政治的なタイミングを図ってミサイルを発射します。金正日が軍の部隊を視察する写真が公開されましたが、重病後とは思えない元気な様子で、すでに指摘されていますが、私も一目で病気の前の写真だと感じました。弱みを見せまいとする、北朝鮮の工作のように思えます。
なお、このミサイル演習に関して、韓国から核弾頭に関する情報が出てきました。space-war.comによると、北朝鮮は長距離ミサイルに搭載する核弾頭を開発していると、先の短距離ミサイル2発の発射の直後に韓国軍筋が主張しました。核弾頭は短距離ミサイルには重すぎて搭載できません。短距離ミサイルの発射に引っかけて発言した理由はよく分かりません。
キム・テヤン統合幕僚議長は連合通信に「北朝鮮がミサイルに搭載できる小型核弾頭を開発中だと承知している」と述べました。キム議長は、北朝鮮は40kgのプルトニウムで、6〜7個の核弾頭を作れるだろうとも述べました。さらに、議長は北朝鮮が核弾頭の開発を完了したかどうかは言えない、としました。こうした事実を韓国政府高官が公に認めるのは珍しいことだといいます。2年前、当時の国防大臣ヨン・クゥワンウンは、北朝鮮のミサイルに搭載できる核弾頭の開発は「さらに数年間かかるだろう」と述べていました。
こうした発言の背景は、記事を読むだけでは分かりませんから、キム議長の意図がどこにあるのかは分かりません。アメリカ筋では、北朝鮮が長距離ミサイルに搭載できる核弾頭を完成させたという意見が多く、韓国軍もその情報を根拠にしているのだと考えられます。これが本当なら、北朝鮮は日本のほとんどの場所を、ノドンミサイルで核攻撃できます。北海道東部の一部地域にはミサイルは届きませんが、この地域には大都市がなく、攻撃しなくても北朝鮮は困りません。しかし、北朝鮮が理由もなく核攻撃をすることはありません。
テロ国家と呼ばれる国との付き合い方は、今年を境に大きく変わるかも知れません。space-war.comに、イランをアフガニスタンを安定化させるための仲間として使えという、ヨーロッパの意見が紹介されています。イランはアフガンのタリバン(スンニ派)には関心がなく、アフガンから流れ込む大麻がミルクよりも安く売られていることを問題視しています。イランを利用してアフガンを安定させようという意見は見当外れではありません。それに、今年の世界的な経済の混乱を考えると、対テロ戦も限界に来ており、ターニングポイントを迎えたと考えるべきです。このことは、2003年には専門家によって指摘されていました。戦いは常に余裕を作り、敵からは余裕を奪うようにすべきです。センスのない大統領のお陰で、対テロ戦は完全に道を踏み外しました。すると、北朝鮮に対する態度も変わる可能性が出てきました。変化が起きるか、どんな変化が起きるのか。注意して見ていかなければなりません。