イラクが米兵の起訴権を実現か?

2008.10.16



 military.comによれば、未だに妥結しないイラクとアメリカの安保協定の交渉で、米軍兵士や民間軍事会社の社員が、米軍基地外で、非番の時に犯罪を犯した場合、イラクが起訴できることが決まる見込みです。

 アメリカは、米軍基地内、軍事活動中に関しては起訴権を保有します。こうした事件で逮捕された米兵は、米軍施設に拘留されますが、尋問と裁判はイラク政府が行います。草案には、イラク政府が望まない限り、来年6月までに、イラクの都市部から米軍が撤退し、2011年12月31日までに、イラク全土から撤退することも書かれています。草案はまだ協議中で、今年末に国連への委任統治が起源切れになる前に、イラク議会で批准される必要があります。

 イラク政府は、米兵の逮捕権を得ようと粘り続けていて、まだ草案の中に盛り込まれているようです。おそらく、この条項が盛り込まれるかどうかが、協定妥結の条件になるでしょう。委任統治が切れる期日は、ブッシュ政権の終わりと共に迫っていますから、米政府は何とか妥結にこぎ着けたいところでしょう。この協定が成立すれば、米軍基地外での事件は大幅に減るでしょうし、イラク警察にしても、アメリカ側を納得させる証拠を集める必要が生じ、警察捜査にも刺激となるでしょう。色々な意味で、変化を生む協定となるはずです。


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