和平交渉からタリバン最高指導者を除外

2008.10.29



 military.comが、アフガニスタン政府が行っているタリバンとの和平交渉について報じました。

 アフガン政府はアフガンとパキスタンの両方のタリバンと交渉していますが、最悪のテロ事件に関わった者たちは交渉から除外され、最高指導者ムラー・オマル(Mullah Omar)や上級の指導者を除いた、中級下級の指導者とのみ交渉しています。パキスタンのタリバンの前大使は、アフガン政府とタリバンが、最近、サウジアラビアで交渉を行ったと述べています。

 タリバンの内部を分割して、亀裂を入れるのがアフガン政府の戦略のようです。もともと、最高指導部は妥協しないと見て、その周辺を取り崩すつもりなのでしょう。それが成功すれば、タリバンの力は殺がれ、アルカイダの盾も失われます。目標が変わることはありませんが、その目的は変わったわけです。交渉の行く末を予測するのは、情報が不足しすぎていて困難です。戦闘の結果は報じられますが、タリバンの内情に関する報道はほとんどありません。彼らが交渉に乗った方が有利と考えるかどうかは、ほとんど分かりません。もちろん、交渉が成功する方が、日本やその他多くの国にとって嬉しいことです。

 さらに、アフガニスタンの対テロ戦の悪化を示す数字が報じられています。space-war.comによると、2001年後期のタリバン政権崩壊以降、アフガンで死亡した外国人兵士が1,002人に達したと、icasualties.orgが報じました。死因の多くは爆弾の爆発、特にIEDによるものです。各軍の内訳は以下のとおりです。

名 称
人数
米   軍
624
イギリス軍
121
カナダ軍
97
ドイツ軍
30
フランス軍
23
オランダ軍
16
デンマーク軍
16
イタリア軍
13
ポーランド軍
8

 それから、military.comによると、派遣期間の延長が2009年を通じて続く見込みであることが、米軍から発表されました。通常は12ヶ月の派遣期間が15ヶ月に延長されて久しいのですが、実は、派遣期間を元に戻すのは、今年7月に実施されるはずでした。それが大幅に延期されることになったのです。これは当然、ブッシュ政権の対テロ戦への批判となります。すでに、軍に多大なストレスがかかっていることが報告されており、これは早急に解決されるべきだという点で、誰からも異論はないからです。


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