military.comによれば、米軍はアフガニスタンに駐留する兵士の数を現在の2倍に増やすことを検討しています。
元の計画は10,000人規模でしたが、20,000人以上に増員する計画が進められていると、匿名を希望する2人の米軍幹部が明らかにしました。当初、アフガン軍の訓練と2個戦闘旅団が必要だという要望が現地司令官から出ていましたが、あとで教官と3個戦闘旅団で約15,000人へ増加しました。現在、さらに5,000〜10,000人が必要となりました。それにはヘリコプター部隊、情報チーム、基地を新設する工兵、医療チーム、未開発の国で戦闘を支援するその他の部隊が含まれます。記事は、イラクで2007年に20,000人とされた増員が、30,000人へ増えた事例を引用し、よくあることだと書いています。アフガンの増員が必要な理由は、道路や滑走路、施設が劣悪で、それを支援する要員が必要なためです。この増員がいつ実現するのかはまだ決まっていませんが、1月までに海兵隊の戦闘大隊と陸軍の旅団、4,000人を派遣することは決まっています。でも、米軍には、これらの増員を実現するための部隊はないと、記事は指摘しています。
最近、本屋で見かけた本に、中国と台湾を統一した場合、両軍の航空機の全数が、航空自衛隊の航空機の数を大きく上回ると書いているのを見て、白けた気分になりました。一戦域にすべての航空機を集めて戦うことはできません。また、すべてのパイロットを同時にすべての航空機に搭乗させて発進させることもできません。戦力を考える時、現実的な数字を見積もる必要があるのです。米軍の総数はもっと多く、見たところではアフガンへの増員は可能に思えます。しかし、緊張を強いる任務を続けさせるには、兵を交替で派遣する必要があり、他地域に駐留させる兵も必要ですから、一度にアフガンに集中できる兵は米軍のごく一部なのです。
軍は予備の兵力がなくなった時に敗北に至ります。そうならないように、余裕を持たせた運用をするのが望ましく、可能なら外交で問題を解決し、軍隊は動かさない方が得策です。ブッシュ大統領は全力で戦うことに意味があると考えたようで、こうした余裕を失う道を選択しました。反面教師としては、とても有益な教材となってくれましたが、そのために命を落とし、健康な心身を失った兵士たちは、人生のすべてか一部を失いました。
この状態が続けば、アメリカから日本の自衛隊への支援が増えるのは当然です。最近、ヘリコプター部隊の派遣を打診されたのは、明らかに、この増員のためです。ヘリコプター部隊、情報チーム、工兵、医療チーム、その他部隊の中で、日本に頼めそうなのは、ヘリコプター部隊くらいしかないことは、簡単に判断できます。情報チームについては説明を要しません。医療は外国の部隊には任せにくい分野です。ジュネーブ条約でも、治療はできるだけ同じ国の兵士が行うと定めており、コミュニケーションの問題もあり、治療を受ける兵士の士気にも関係する問題です。米軍の基地は米軍の工兵部隊にしか作れませんが、滑走路の地ならしくらいは外国の軍隊にやらせることはできるでしょう。しかし、地ならしだけ頼むのは自衛隊に失礼だと米軍は考えます。ヘリコプター部隊の次に頼めそうなのは、戦闘部隊ということになります。前から指摘していますが、いずれ戦闘部隊の派遣が求められる可能性があります。すぐに武装勢力と戦えとは言われないでしょうが、第一段階として米軍基地の警備を任させるかも知れません。そのことを、今から想定しておくべきです。