ファイナ号の積荷はどこに送られる?

2008.10.31



 30日付けのジェームズタウン財団のニュースレターで、未だに解決されていないウクライナ船籍の輸送船のハイジャック事件について記事が載りました。(この記事はまだウェブサイトには掲載されていません)

 この記事で、ファイナ号の積荷について、これまで言われていた武器の他に、対空砲が含まれていることが分かりました。また、ソマリアの主要なテロ組織、イスラム法廷連合が、海賊とのどんな関わり合いをも否定しました。ロシアのミサイルフリゲートはすでに現場海域に到着しています。

 記事は主に、ファイナ号の積荷の行き先について論じています。ウクライナとケニアはどちらも、この積荷がケニアの国防省に送られると主張しています。ケニアは1970年代に使われていた年代物のヴィッカースMK3戦車を使っており、ファイナ号のT-72はMK3と置き換えられるといいます。ケニアは、現段階ではロシア製の兵器をまったく使っておらず、ウクライナ/ロシアで生産された兵器を使う訓練も行っていないと主張します。通常の購入手続きは行われておらず、ケニア国防省は海賊が船を乗っ取った後で出荷を知らされただけだと主張します。

 ところが、海賊は船に積まれている出荷書類には、南スーダン政府(the Government of South Sudan)を表す「GOSS」と記載されていることを見つけました。ケニア当局者は、GOSSは「General Ordinance Supplies and Security」を表すと主張しますが、ケニア軍幹部は、それは見たことのない無意味なフレーズだと主張します。ところが、南スーダン人民解放軍も、ファイナ号の積荷を使う訓練は受けていないと言います。果たして、ファイナ号の積荷の行く先はどこなのか、と記事は問うています。

 ケニア政府の主張は意味不明です。何か分かりませんが、重要な事実がまだ明らかになっていないような気がします。武器業者が何か小細工をしているのかも知れません。海賊が嘘をついている可能性もあります。この事件で、こんな簡単なことがまだ分かっていないのは信じられません。

 ロシアはやはり、直ぐには突入しないようです。見たところでは、状況は手詰まりです。どちらがどんな方法で事態を打開するのか、ちょっと予測がつきません。


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